2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J06543
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤川 芳宏 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 損傷乗り越えDNA合成 / メダカ / Rev1 / TALENs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、変異体メダカを用いたRev1の遺伝子機能解析である。損傷乗り越え(TLS)ポリメラーゼは、DNA損傷に対して誤りがちな塩基を挿入することでDNA複製を進行させる。そのためTLSは突然変異を引き起こし、ひいては発がんに関与すると考えられている。Rev1はTLSポリメラーゼの1つであり、鋳型塩基に対してシトシンを挿入するdCMP転移活性を持つ。一方で、Rev1は他のTLSポリメラーゼと異なり、C末端側に他のTLSポリメラーゼと相互作用するユニークな領域を持つ。Rev1はこの領域を介して他のTLSポリメラーゼと複合体を形成するが、この複合体の役割はまだ十分に明らかになっていない。そこで組織・個体レベルの遺伝学的解析に有利なモデル生物であるメダカを用いて、Rev1遺伝子の機能を解析した。 今年度はC末側相互作用領域変異体メダカの解析を細胞レベルで行い、C末側相互作用領域がアルキル化剤感受異性に重要であることを明らかにした。また前年度樹立できなかったdCMP転移活性領域のミスセンス変異体の培養細胞を樹立した。次に前年度に得られた発がん実験の結果を裏付けるために、BACを用いてRev1のトランスジェニック個体を作製し、レスキュー実験を行った。その結果、個体レベルでRev1のC末端相互作用領域はアルキル化剤感受性及び発がんに重要であることが裏付けされた。よってアルキル化損傷に対して他のTLSポリメラーゼとの相互作用が重要であることがわかった。 一方、相互作用領域解析のために、TALENsを用いて他のTLSポリメラーゼのPolz(Rev3L/7), Polh, Polk, Poli変異体メダカを作製した。Rev3L欠損はマウスでは胚性致死だが、意外なことにメダカでは生存可能であった。Rev3Lがメダカの胚発生において哺乳類とは異なる役割を担っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はトランスジェニック変異体メダカを用いて、Rev1のC末端相互作用領域がアルキル化損傷における感受性及び発がんに重要である事を裏付けできた。意外なことにdCMP転移活性ミスセンス変異体でも野生型と比べて発がん率の上昇が見られた。これはRev1以外のTLSポリメラーゼがアルキル化損傷を謝りがちに乗り越えた結果だと考えられ、興味深い。しかし、dCMP転移活性ミスセンス変異体の細胞レベルの解析が遅れており、Rev1が引き起こすアルキル化損傷における変異スペクトラムの解析ができていない。これは前年度に培養細胞が樹立できなかったためである。また、Rev1以外のTLSポリメラーゼ変異体を作製できたが、それぞれの表現型を解析できていない。以上のことから、総合して本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度作製したdCMP転移活性ミスセンス変異体細胞のDENA(アルキル化剤)感受性を調べる。次にRev1が引き起こす発がんのメカニズムを明らかにするために、それぞれの変異体もくしはTG個体から作製した培養細胞におけるDENAの変異スペクトラムを次世代シーケンサーを利用して網羅的に解析する。また、得られた他のTLSポリメラーゼ変異体の培養細胞を作製し、各変異原感受性を解析する。その成果をまとめ論文として発表する。
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Research Products
(5 results)