2015 Fiscal Year Annual Research Report
新たな生物考古学的手法による遺跡出土動物遺存体の生活史復元 文理融合解釈への試み
Project/Area Number |
13J06545
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
覚張 隆史 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 特任助教
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 動物遺存体 / 文化財科学 / 同位体 / 食性復元 / ウマ / イヌ / 古DNA / 毛色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、従来の食性復元で使用されてきた骨コラーゲンの炭素・窒素安定同位体分析の他に、新たに歯エナメル質の炭素同位体分析に基づく食性復元を、日本の遺跡出土資料に初めて応用することを試みたものである。本年度は、上黒岩岩陰遺跡出土犬について、放射性炭素年代測定による再評価と食性復元を実施し、これらの結果を学術誌に公表した。縄文時代早期のヒトの食性と、縄文時代前期のイヌの食性が極めて類似していることを示した。この結果は、縄文時代犬の食性を初めて同位体生態学的に評価されたものであり、学術的な価値が高いと考える。また、このイヌの放射性炭素年代は、今まで報告されてきた完全な形で骨格が残存している犬としては、東アジア最古級である事も示唆され、日本だけでなく国際的に価値の高い資料であることがわかった。また、三ツ寺Ⅰ・Ⅱ遺跡出土馬の食性分析を実施し、その結果を学術誌にて公表した。歯エナメル質の炭素同位体比の変動は、植物の中でも光合成がそれぞれ異なるC3植物とC4植物の摂取割合に応じて変動するため、遺跡出土馬の当時のC3/C4植物摂取割合の復元が可能である。三ツ寺遺跡出土馬は、若齢時はC3植物食の兆候を示していたが、3歳以降になるとC4植物摂取割合が上昇する傾向があることを示した。C4植物はススキなどの野生植物から、栽培植物であるアワ・キビなどがあるが、季節的な変動ではなく、年齢によって炭素同位体比が大きく変動することから、人為的に雑穀類などを給餌している可能性が示唆された。本結果は、日本列島における馬の飼育文化を復元する上で重要な足がかりになると考えられる。最後に、古代DNA分析においては、毛色決定のための実験系を構築し、中国陝西省移籍出土馬に応用した。分析個体数は少ないものの、これらの分析手法を、日本国内の移籍出土馬に応用することが期待される。
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(3 results)
-
-
[Journal Article] Radiocarbon dating of one human and two dog burials from the Kamikuroiwa rock shelter site, Ehime Prefecture2015
Author(s)
Takashi Gakuhari, Hajime Komiya, Junmei Sawada, Tomoko Anezaki, Takao Sato, Kenichi Kobayashi, Shigeru Itoh, Koichi Kobayashi, Hiroyuki Matsuzaki, Kunio Yoshida, Minoru Yoneda
-
Journal Title
Anthropological Science
Volume: 123
Pages: 87-94
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-