2013 Fiscal Year Annual Research Report
抗HIV薬治療効果の増強に結び付く細胞性免疫反応に関する研究
Project/Area Number |
13J06553
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 碧 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | サル免疫不全ウイルス / 細胞障害性Tリンパ球 / センダイウイルスベクター / 抗HIV薬治療 / 主要組織適合遺伝子複合体クラスI |
Research Abstract |
本研究は抗HIV薬投与下の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応誘導がウイルスへ及ぼす影響について広く解析することを目的としている。本年度は研究計画段階において予定されていた抗HIV薬投与下および投薬中止後の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応の解析、投薬中止後の血漿中ウイルス量の解析に加え、投薬前後のウイルスのゲノム解析を行った。 CTL反応の解析によって、投薬下のGag発現/Vif発現センダイウイルスベクター接種は投薬下においてGag/Vif特異的CTL反応を優位に誘導することを明らかにした。また、ベクター接種によって誘導されるGag/Vif特異的CTL反応は投薬中止後も維持される傾向にあり、特に通常のSIV感染初期にGag/Vif特異的CTL反応を優位に誘導しない群ではGag/Vif特異的CTL反応が優位に維持され、抗原優位性が投薬前と変化することを明らかにした。このことはセンダイウイルスベクターによるCTL誘導が元々の抗原優位性によらず有効であることを示す重要な結果である。 血漿中ウイルス量の解析からは、ベクター接種群のほうが非接種群に比べ、投薬中止後のウイルス量が投薬前に比べてより低下する傾向にあることを見出した。このことはベクター接種によるGag/v1if特異的CTL反応誘導が投薬後のウイルス複製抑制に寄与している可能性を示唆しており、重要な知見である。 更に、投薬前後のウイルスゲノム解析により、一部の個体においてCTL誘導の標的抗原であるGagおよびVifにおけるアミノ酸変異が認められた。今後、この変異がCTLの誘導に影響を及ぼしていたかどうかを明らかにすることは、ベクター接種がウイルスのコントロールに寄与していたか検討する上で重要であり、これについては次年度に解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた課題に加え、次年度に進める予定であった研究課題についての取り組みを進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られたウイルスゲノムの変異について、CTL反応による影響の有無を検討する。また、ベクター接種によって誘導されたCTLのウイルス複製抑制能にっいて、in vitroでの解析を行い、今年度に得られたウイルス量、CTL反応のデータと比較解析を行うことで、総合的にベクター接種がウイルスのコントロールに影響を及ぼしたかどうか、検討を行う。
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Research Products
(2 results)