2013 Fiscal Year Annual Research Report
超大複雑ネットワークにおけるアルゴリズム:解析理論の構築と体系的な高性能化
Project/Area Number |
13J06563
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋葉 拓哉 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ソーシャルネットワーク / ウェブグラフ / 大規模グラフ / グラフアルゴリズム / 最短経路アルゴリズム / 最短経路クエリ / 到達可能クエリ |
Research Abstract |
【1. 最短経路クエリ手法Pruned Landmark Labelingの開発】 大規模複雑ネットワーク上における2点間の最短経路の計算は最も重要な処理の1つであり, グラフデータベースのクエリ処理やネットワークを考慮した情報検索などの幅広い応用を持つ. 本研究では(1)グラフに対し予め索引を作成し(2)それを用いて2点間の最短経路の問合せに効率的に応答するという問題を扱った. 多くの手法が既に提案されているが, 今日の規模のグラフデータにおいて満足な性能を持つものは未だに存在していなかった. そこで本研究では新しい手法Pruned Lagdmark Labeliegの提案及び評価を行った. 提案手法は, 索引のデータ構造と問合せ時のアルゴリズムとして2-Hopと呼ばれる一部の既存手法と共通した枠組みを利用する. しかし, それらの既存手法は索引の計算を最適化問題に帰着し間接的に計算していたのに対し, 提案手法は巧妙な枝刈りを伴う幅優先探索により索引を直接的に計算する. 実験により既存手法に対し約100倍大規模なグラフを同等の前計算時間・問合せ時間で処理できることを確認した. また, 高い性能を持つだけでなく, 手法がシンプルでありパラメータ等をほぼ持たないため使用が極めて容易である. そして, 次に説明する通り, 拡張性もかなり高いことがわかってきている. この研究は国際学会International Conference on Management of Data (SIGMOD'13)に採択され発表を行った. 【2. Pruned Landmark Labelingの様々なクエリへの拡張】 上述のPruned Landmark Labelingは高い性能を誇るのみならず, 高い一般性も持ち様々な異なる問題への拡張を行うことができることがわかってきている. 到達可能性クエリ, 交通ネットワークでの最短経路クエリ, タイムスタンプ情報のついたネットワークにおける最短経路クエリ等に対する拡張を行い, 関連する論文が3本国際会議に採択され発表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
開発を行ったPruned Landmark Labelingは高い性能を持つだけでなくシンプルで扱いやすく拡張性を持つという性質を満たし, 計画書にて目標の1つとしていた手法にかなり近いものとなっている. また, 木幅やハブの仮定を用い, 実ネットワークの性質と関連付けた理論的解析にも成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
一つには, Pruned Landmark Labelingの更なる性能向上がある. 残念ながら上記のような良い性質を持ちながら既存の手法よりも高い性能も持ち合わせているものの, スケーラビリティの限界が数億辺クラスのネットワークにあり, 数十億辺クラスやそれを超えるネットワークの処理が行えないという問題点がある. これを打開するため, 索引容量の削減と索引構築アルゴリズムの高性能化が求められる. また, 更なる拡張の可能性を探り, 現実的な設定にてさらなる価値を提供スうることを目指す. 並行して, よりタイトな理論的解析を試みる. さらに, 最短経路に関連する中心性等の推定の効率化も目指す.
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Research Products
(8 results)