2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J06630
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸亀 泰二 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CR多様体 / アインシュタイン計量 / 大域的不変量 |
Research Abstract |
今年度は、CR多様体の微分幾何的な性質について、完備ケーラー・アインシュタイン計量とそのCR無限遠境界という枠組みで研究を行った。この枠組みは、理論物理学との関連で重要な、ポアンカレ・アインシュタイン計量と共形無限遠境界という設定の複素版と考えられ、近年さかんに研究されている。私はとくに、ケーラー・アインシュタイン計量の繰り込まれた特性類や繰り込み体積を利用して得られる大域的なCR不変量を中心に研究を行った。 まず、繰り込まれたチャーン類に対するガウス・ボンネ公式の境界項として得られるCR不変量を調べるため、繰り込み接続の幾何的な性質を調べた。その結果、この接続はアンビエント計量と呼ばれる標準束上の自然な計量が定める射影構造をあらわしていることが分かった。この成果は、このCR不変量が多様体の射影微分幾何的構造と関連していることを示しており、不変量の性質を知る上で重要になると考えられる。 次に、ケーラー・アインシュタイン計量の繰り込み体積を考察した。繰り込み体積は、そのままでは発散してしまう体積を、自然な定義関数に関して漸近展開し、定数部分や対数項を取り出したものである。私は、定義関数として複素モンジュ・アンペール方程式の近似解を用い、アインシュタイン方程式を利用して繰り込み体積を計算した。その結果、繰り込み体積は、Q'曲率と呼ばれる境界の大域的CR不変量と一致することが示された。また、この公式を利用して5次元のCR多様体に関するQ'曲率を、田中-ウェブスター接続の曲率とトーションで具体的に記述した。その結果、ガウス・ボンネ公式の境界項として得られる不変量とQ'曲率は互いに異なる不変量を与えていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CR多様体の大域不変量の研究において基礎となる幾何学的対象の理解を深めることができ、また不変量の具体的な表示式も得られたから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、ケーラー・アインシュタイン計量の繰り込み接続と深く関連していると考えられる射影構造という観点から、大域不変量の研究を続けていく。また、CR構造の変形に関する不変量の振る舞いを調べることによって、幾何的な意味を調べる。
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Research Products
(2 results)