2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J06630
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸亀 泰二 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CR多様体 / 射影多様体 / Blaschke計量 / 体積繰り込み |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に射影微分幾何に関する研究を行った。単位球上の双曲計量には、PoincareモデルとKlein(projective)モデルというふたつのモデルがある。PoincareモデルはPoincare-Einstein計量と呼ばれる境界付き多様体上の完備計量に一般化され、理論物理学との関連から、体積繰り込みと境界の共形幾何との結びつきがよく研究されている。一方Kleinモデルの一般化としては、Euclid空間内の強凸領域上のBlaschke計量がある。Blaschke計量は、実Monge-Ampere方程式の解を用いて定義され、1次分数変換の作用で不変という性質を持っている。今年度の研究では、実Monge-Ampere方程式を一般の局所平坦な射影多様体の中の強凸領域上に拡張し、Blaschke計量を一般化した。さらに、実Monge-Ampere方程式の近似解を構成し、Blaschke計量の体積展開を考察した。その結果、Blaschke計量はPoincare-Einstein計量と同様の展開をもち、境界が奇数次元のときは定数項が、境界が偶数次元のときは対数項が、それぞれ射影不変量になることが分かった。また、共形幾何におけるQ曲率やGJMS作用素が射影幾何においても定義可能で、体積展開の対数項が境界でのQ曲率の積分に等しいことを示し、領域の変形に対する変分公式を計算した。第1変分はMonge-Ampere方程式の近似解構成の際に現れる障害で表すことができ、第2次変分はGJMS作用素をもちいて表すことができる。これらの結果は、複素多様体の強擬凸領域上の完備Kahler-Einstein計量とそのCR境界という設定の実多様体版とも考えられ、CR幾何学の研究においても重要なものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複素強擬凸領域とCR境界という枠組みの実類似と考えられる、射影多様体の強凸領域とその境界という設定で、体積繰り込みやGJMS作用素、Q曲率といった重要な概念を考察することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はBlaschke計量の体積繰り込みを、境界上に定まる幾何構造の観点から研究し、特にCR幾何の場合と異なる現象を見出すことに主眼をおいて考察していきたい。また実射影構造の代わりに複素射影構造を考えることで、CR幾何への直接的な応用も研究する。
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Research Products
(2 results)