2014 Fiscal Year Annual Research Report
シンプレクティック多様体上のハミルトン微分同相群のホーファー距離、カラビ擬準同型
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13J06631
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 盛通 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | heavy / 非可縮軌道 / 分裂ホーファー長 / 安定有界性 |
Outline of Annual Research Achievements |
・heavyな部分集合を用いてハミルトン流の非可縮周期点の存在を証明する方法を開発し、応用として非可縮軌道を用いたheavy部分集合の特徴づけを与えた。現在証明が正しいかどうか検証中である。 元の研究計画ではheavy, superheavy部分集合の新たな判定方法を与えることに重点があったことを踏まえると計画とは多少異なった方向の研究にはなるが、専らnon-displaceabilityやホーファー長との関係で研究されていた性質に新たな視点を与えたことは中長期的には元の研究計画にも資すると思われる。 ・分裂長とホーファー長を混合させた分裂ホーファー長についていくつかの結果を得た。これについても現証明が正しいかどうか検証中である。 分裂ホーファー長の定義においてはシンプレクティック多様体の開集合を一つ固定するのであるが、これの体積が小さくなる場合の挙動について考察し、カラビ準同型の核についてホーファー幾何的な特徴づけを得た。 分裂ホーファー長がいかなる場合に安定有界にならないかについて考察した。例えばユークリッド空間については通常のホーファー長が安定有界なのに対して分裂ホーファー長が安定有界でないのが分かる。大雑把な説明になるが上の議論は分裂ホーファー長の方がより測地線が存在しやすいということを意味しており、研究計画にあるホーファー幾何における測地線の研究と関連するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とは少し異なる方向であるものの、ホーファー幾何の測地線やheavy, superheavy部分集合といった計画にあった対象に対して新たな視点を与えるものとなっているのは間違いない。 成果そのものの新規性や意外性についても問題ないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
カラビ準同型の核における分裂ホーファー長の振る舞いなど、現在でも分裂ホーファー長については不明な部分が多い。引き続き基本的な性質について研究を継続したい。 heavy部分集合と非可縮軌道の関係についてであるが、定性的な議論はほぼ完成したものの、定量的に改良の余地があるように思われ、引き続き研究を継続したい。その過程で通常のシンプレクティック・ホモロジーを用いて得られた結果について理解を深めたいとも考えている。
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Research Products
(1 results)