2014 Fiscal Year Annual Research Report
生殖細胞及び初期胚におけるゲノムリモデリングへのヒストンH3変異体の関与について
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13J06632
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河村 真愛 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゲノムリモデリング / クロマチン / ヒストン変異体 / 卵 / 初期胚 / 初期発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
分化した卵が精子と受精することにより全能性を獲得した胚となる。細胞の性質が変化する際、ゲノムリモデリングと呼ばれる核内のクロマチン構造の大編成が起こる。しかし、ゲノムリモデリングが起こるメカニズムは明らかになっていない。近年、ヌクレオソームを構成するヒストンがその変異体に置き換わることによって、クロマチン構造が変化することが明らかとなった。哺乳類のヒストンH3変異体として、主にH3.1,H3.2,H3.3が存在する。本研究では、H3変異体がゲノムリモデリングを含む受精前後におけるクロマチン構造の変化にどのように関与するのか解析することを目的とする。 卵および初期胚におけるH3.1,2,3の核への局在を解析するために、抗H3.1・2抗体, 抗H3.3抗体それぞれを用いた免疫染色を行った。さらに、H3.1、2それぞれの核局在を解析するために、Flag-H3.1またはFlag-H3.2を発現するトランスジェニックマウス由来の卵および初期胚を用いて、抗Flag抗体による免疫染色を行った。その結果、受精前後の核内においてH3.1、2共に取り込まれていないことがわかった。一方で、H3.3は受精前後において核への局在が見られた。以上の2つの解析から、H3.1・2は、ゲノムリモデリングを含む受精前後のクロマチンに取り込まれておらず、H3.3のみで構成されていることが考えられる。 次に、ゲノムリモデリングが起こる際、H3.1・2がクロマチンに取り込まれない生物学的な意義を解明するために、受精直後の胚におけるH3.1,2,3の強制発現を行った。その結果、H3.3過剰発現胚、コントロール胚と比較して、H3.1・2過剰発現胚の発生率が顕著に低下した。以上の結果より、ゲノムリモデリングが起こる際、H3.1・2はクロマチンに取り込まれないことが初期発生に重要であることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度行った内在性のH3変異体の核局在の解析は、これまでに解析されたFlag-H3変異体の局在解析の結果に加えて、新たな知見を得ることができた。H3変異体過剰発現の解析から、H3変異体それぞれの取り込み効率が異なることが明らかとなった。さらに、H3.1、H3.2過剰発現胚において、発生停止が見られ、興味深い結果が得られたことから、本研究は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究結果から、H3.1,H3.2が取り込まれないことが初期発生に重要であることが示唆された。本年度は、受精前後の卵・初期胚のクロマチンにH3.1・H3.2を強制的に取り込ませた場合に起こる発生停止の原因を探る。そのために、クロマチン構造や遺伝子発現の変化に着目して解析を行ってゆく予定である。
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Research Products
(2 results)