2013 Fiscal Year Annual Research Report
水素吸蔵合金充填層における応力発現解析モデルの開発と合金タンク設計最適化への応用
Project/Area Number |
13J06639
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥村 真彦 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 水素吸蔵合金 |
Research Abstract |
本年度は水素吸蔵合金充填層内における粒子充填構造の定量評価を目的とした画像処理プログラムの作成を実施した. 作成したプログラムは三次元像の二値化・収縮による前処理およびWatershed法による分割を行うものである. 既に取得済みの合金充填層の三次元像を対象に開発したプログラムを用いて粒径分布を抽出したところ、水素を吸蔵する前の充填層から得られた粒径分布に対して吸蔵した後の充填層から得られた分布は全体として粒径の小さな側にシフトしており、水素の吸蔵が充填構造の変化に及ぼす影響の定量的な評価が可能となった. また, 充填層全域における充填構造の変化に対する三次元像の撮像実験に取り組んだ. Mm-Ni系合金のほか, 今後普及が期待されるTi-Fe系合金を選定した. X線CTにより, いずれの合金種を対象にした場合でも, 充填構造の変化を鮮明に捉えることができた. Mm-Ni系合金の充填層では, 水素を一度吸蔵したことで充填構造が著しく変化した. 水素吸蔵前の充填層は粗大な粒子が一様に充填された構造であった. 一方吸蔵後の充填層について, 底付近では吸蔵前にみられた粗大な粒子と同程度の大きさの粒子がみられたほか, その間に存在する隙間を埋めるように細かい粒子が存在していた. さらに, 吸蔵後の充填層の上部では, その細かい粒子と同程度の大きさの粒子で充填層が構成されていた. Ti-Fe系合金の充填層では, ㎞-Ni系と比較して水素を一度吸蔵した後においても粒子の大きさはほとんど変化しなかった. 水素吸蔵前の充填層と比較して, 吸蔵した後の充填層においては粒子間の間隙がより狭くなった. 水素吸蔵後において, 充填層を構成する粒子の内部には細かいひびが生じていた. 本実験で得られた結果は充填層内における充填構造の偏りを把握するうえで重要な知見であり, 偏析の過程に対するモデルの構築において大いに参考となる結果を得ている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では本年度シミュレータの開発に着手する予定であったが、幅広い合金種に適用できるモデルを構築することを考え、現象の把握に注力した. この結果, シミュレータの開発より実験に時間を割くこととなった.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はシミュレータの構築に注力する。連続体としてみた充填層が容器の壁面を押した場合の挙動および粒子が充填層内で移動する挙動を再現するためのモデルのベースとして、既に有限要素法および離散要素法に習熟している. これまで得たレファレンスを基に, これを再現可能なモデルを構築していく.
|
Research Products
(2 results)