2013 Fiscal Year Annual Research Report
Notchシグナルの下流分岐で働く新規構成因子Sprit mindedの研究
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13J06669
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 顕治郎 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Notch情報伝達系 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
Notch受容体(Notch)を介した情報伝達糸(Notch情報伝達糸)は、細胞間の接触による細胞間相互作用において重要な働きを担っています。Notch情報伝達系は、多細胞動物で広く保存されており、ヒトでは、白血病や癌、様々な遺伝病と関係しています。Notch情報伝達系の理解が不十分であることが、これらの疾患の有効な治療法の開発の障害になっています。したがって、モデル生物であるショウジョウバエを用いて、Notch情報伝達系の新規構成因子を同定し、その機能を理解することは、医学的にも重要な意味をもちます。Notch情報伝達系が異常になるようなショウジョウバエ胚では、神経過形成の表現型を示します。この表現型をneurogenic表現型と呼んでいます。また、機能の喪失でこのような表現型を示す遺伝子をneurogenic遺伝子と呼んでおります。neurogenic遺伝子はショウジョウバエの遺伝学の性質上2種類に分けることが出来ます。1っは接合体neurogenic遺伝子で、もうひとつは母性neurogenic遺伝子です。私は、neurogenic遺伝子のなかで探索がほとんど行われていない、母性neurogenic遺伝子に着目し、システマティックに探索することとしました。このことにより、Notc血情報伝達系の新規構成遺伝子を同定できるものと考えました。本研究では、母性neurogenic表現型を示す突然変異を遺伝的スクリーニングによって探索・単離し、その責任遺伝子を同定することで、新規なNotch情報伝達系の構成遺伝子を同定、機能の解析をすることを目的としました。本年度は、その中でも責任遺伝子の同定に焦点をあて研究を行って参りました。ショウジョウバエ欠失突然変異体系統をを用いた遺伝子マッピングにより、Notch情報伝達系の新規構成遺伝子の同定に成功しました。このとことにより、遣伝子の核酸の配列情報や蛋白質の構造などの予測が可能になりました。このことは、今後の遺伝子の解析を行うことに必須となってきます。そのため本年度行った実験は非常に重要なものであったと言えます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの実験で、Spmの責任遺伝子の同定を行うことができました。これは当初の計画道りである。そのため、おおむね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
Su(H)-mycを用いたChiPアッセイ 現在までの実験結果で、spm突然変異体内部では、クロマチンの構造変化が正常に起こらなくなっているということを示唆するデータが出ています。現在までに、Notch情報伝達系と、クロマチンの構造の変化の関係性はあまりよく理解されていません。私は、Su(H)のクロマチンへの結合性が異常となり、そのことによりNotch情報伝達系の正常な活性化を妨げているのではないかと考えています。そのため、Su(H)がクロマチンに正常に結合することができているかを観察するために、ChiPアッセイを行います。このChiPアッセイでは、培養細胞を用います。培養細胞内でspmをノックダウンした時と、ノックダウンしない時でのSu(H)のクロマチンへの結合性の変化を観察します。この時、特にNotch情報伝達系の下流標的遺伝子に着目して観察を行います。
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Research Products
(3 results)