2014 Fiscal Year Annual Research Report
Notchシグナルの下流分岐で働く新規構成因子Sprit mindedの研究
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13J06669
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 顕治郎 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Notch / Drosophila |
Outline of Annual Research Achievements |
Notch受容体 (Notch) を介した情報伝達系 (Notch情報伝達系) は、細胞間の接触による細胞間相互作用において重要な働きを担っています。Notch情報伝達系は、細胞分化やパターン形成などの多彩な機能をはたし、発生や、恒常性の維持に不可欠です。Notch情報伝達系は、多細胞動物で広く保存されており、ヒトでは、白血病や癌、様々な遺伝病と関係しています。Notch情報伝達系の理解が不十分であることが、これらの疾患の有効な治療法の開発の障害になっています。したがって、モデル生物であるショウジョウバエを用いて、Notch情報伝達系の新規構成因子を同定し、その機能を理解することは、医学的にも重要な意味をもちます。 Notch情報伝達系の機能の中で、ショウジョウバエ初期胚の中枢神経系でみられる「側方抑制」が古くから研究されています。ショウジョウバエ胚の神経上皮では、全ての細胞が神経芽細胞に分化する能力を有しますが、1/4が神経芽細胞に、残りは上皮芽細胞に分化します。Notch遺伝子の突然変異体のように、Notch情報伝達系が機能しない胚では、側方抑制が起こらず、神経上皮の細胞が全て神経芽細胞に分化します。この神経過形成の表現型をneurogenic表現型と呼びます。その突然変異がneurogenic表現型を示す遺伝子は、neurogenic遺伝子と呼ばれています。 これまでの実験により、Notch情報伝達系に関与する新規neurogenic遺伝子としてokra(okr)を得ることができました。okrは、様々な機能を持つクロマチン制御因子です。okr突然変異体では、神経過形成の表現型を示すと同時に、中胚葉の分化異常の表現型が見られます。このことから、Notch情報伝達系が中胚葉の分化を制御しているという新規知見が得られました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今までの実験により、Notch情報伝達系が中胚葉の分化を制御しているということが示唆されてきました。このことから、今回の発見は新規性のあるものと考えられます。
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Strategy for Future Research Activity |
1:Okrの機能するNotch情報伝達系においてどの段階の解析 okr突然変異体胚において、Delta、FN、⊿ECN、NICD、Su(H)-VP16、をそれぞれ強制発現します。今までの研究で、NICDをokr突然変異体胚内で強制発現すると、Notch情報伝達系の下流標的遺伝子であるsimの発現を救済することができるということがわかっています。 しかし、中胚葉に関してはこの実験を行っていません。そのため、okr突然変異体胚における中胚葉の分化の異常を、Delta、FN、⊿ECN、NICD、Su(H)-VP16の強制発現により救済することが出来るのかという実験を行います。 2:中胚葉の形成における様々なシグナルの中での、Notch情報伝達系の位置づけ Notch情報伝達系は中胚葉の形成に関与することが分かりました。しかし、どの時期、どの場所で、どの様にNotch情報伝達系が働いているのかということの解析は行われていません。そこで、中胚葉の分化が異常になるような突然変異体において、NICDの強制発現を行います。NICDの強制発現により、中胚葉の形成が救済できるならばその遺伝子の下流でNotch情報伝達系が働いているということがわかります。このことを利用して、中胚葉の形成における様々なシグナルの中での、Notch情報伝達系の位置づけを行います。
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Research Products
(7 results)