2013 Fiscal Year Annual Research Report
個人内および個人間の知覚-運動協調ダイナミクスの解明
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13J06687
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三浦 哲都 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 非線形力学系 / 重力 / 知覚―運動協調 |
Research Abstract |
特別研究員の先行研究では、ストリートダンスでの2種類の膝屈伸動作(ダウン : 膝屈曲とビート音を同期、アップ : 膝伸展とビート音を同期)が、体肢協調と共通の力学系法則に従うことが報告されている(Miura et al., 2011 ; Miura et al., 2013)。これらの研究では、ダンス未経験者とストリートダンス熟練者に、ダウンとアップを様々な速度で行わせた。その結果ダウン動作からスタートする条件では、両群ゆっくりから速くなるまでダウンの動作が遂行できているのに対し、アップからスタートする条件では、ダンサーでは平均166拍/分、非ダンサーでは平均125拍/分でアップからダウンへの相転移現象が観察され、その相転移周波数はダンサーの方が有意に高かった(p<. 05)。知覚―運動協調の相転移の制約因子として、重力が影響している可能性が示唆されている(Carson et al., 2009)。仮に重力がアップからダウンへの相転移の制約因子だとすれば、関節の運動の方向と重力の関係を逆転させることで、相転移の方向が逆転する可能性がある。立位では重力方向動作と音を合わせる協調パターンはダウン(膝屈曲とビート音を同期)であるのに対し、仰臥位ではアップ(膝伸展とビート音を同期)が重力方向動作と音を合わせる協調パターンである。そのため、仰臥位ではダウンからアップへの相転移が観察される可能性がある。参加者は仰臥位でメトロームに合わせてアップとダウンを行った。メトロノームのビート音は60拍/分から220拍/分まで16ビートごとに20拍/分ずつ増加した。その結果、180拍/分でダウンからアップへの相転移が観察された。この結果は重力が、アップダウンなどの立位での知覚―運動協調パターンの組織化に関わる制約因子であることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特別研究員は、国内の学会に2件シンポジストとして招待され、国外学会で1件ポスター発表を行った。また国内学会誌に総説論文を1篇、国外学会誌に共著として1篇、原著論文を1篇発表した。また現在総説論文が1篇、改訂中である。以上のことからも、特別研究員の研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、個人内および個人間の知覚―運動協調ダイナミクスの解明が目的である。本年度は主に、個人内での協調に関する研究を行った。次年度は個人内協調に関する研究を並行して行う。
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Research Products
(6 results)