2013 Fiscal Year Annual Research Report
反応性クライオプラズマの創製とその材料加工プロセスへの応用
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13J06697
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宗岡 均 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クライオプラズマ / プラズマ化学 / 超臨界流体 / 密度揺らぎ / 絶縁破壊 / 低誘電率材料 |
Research Abstract |
「クライオプラズマを用いた材料加工プロセス科学という新しい学術基盤を築き、様々な応用可能性を開拓すること」を目的として、本年度は、1.ヘリウムの臨界点近傍における絶縁破壊現象についての研究、2.ヘリウム/窒素混合系クライオプラズマ中の種々の反応のプラズマガス温度依存性についての実験および計算による研究、3.酸素/アルゴンおよび酸素/ヘリウム混合系のクライオプラズマによる低誘電率材料の低侵襲性アッシングプロセスの開発という主に3つの研究を行った。1.については、希ガスのクライオプラズマに反応性を付与するための反応場として臨界点近傍の密度揺らぎ場に着目し、絶縁破壊現象というプラズマ生成の前駆現象における分子配置の相関距離と電子の平均自由行程の関係性を示し、揺らぎ場中プラズマ反応場における反応機構の基礎となる電子の運動への知見を得た。2.については、クライオプラズマを含む低温プラズマにおいて重要なパラメーターである「プラズマガス温度」によりプラズマ化学が劇的に変化することとそれがプラズマガス温度を考慮した反応モデルにより再現できることを、時間分解発光分光測定、レーザー吸収分光などの測定や、新たに反応モデルを構築することにより示した。3.については、クライオプラズマを使用することによる低侵襲性を、従来の固体構造の解析に加え、本研究では電気的特性の向上によっても確認し、クライオプラズマプロセスの低ダメージ性を顕著に示したものと考えている。なお、研究実施計画と1.、2.は多少異なるが、研究計画を立てた際には、1.、2.は共に重要であるが実現が容易ではないと考えたため今年度の計画から除外していたものである。しかし本年度1.、2.の研究により上記の知見が得られ、これにより、来年度は研究がより進行することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画を一部変更したため当初予定の実験をすることができなかった部分があるが、一方で、研究目的達成のために重要な知見である、密度揺らぎ場中の電子の運動や、プラズマガス温度によるプラズマ化学の変化およびそれに対する反応モデルを示すことができた。これらの知見は研究計画を立てた際には、重要であるが実現が容易ではないと考えたため今年度の計画から除外していたが、今回達成することができたため、②の評価とする。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、特にプラズマ化学反応のプラズマガス温度依存性について、および多孔質材料へのプラズマ表面処理を通じて研究目的を達成する予定である。前者については、まずアルゴンや酸素を含む系において実験・考察を進め、その結果次第で、ヘリウムあるいはアルゴンのどちらを希釈ガスとした反応性クライオプラズマプロセスとするかを確定し、反応性ガスを含むクライオプラズマプロセスの開発に取り組む。後者については、本年度の低侵襲性クライオプラズマアッシング研究の成果で得られた知見を基に、熱に弱い多孔質材料内部への表面処理を通じて、クライオプラズマプロセスの有用性の柱の一つである低侵襲性を持つ表面処理プロセスの開発を進める予定である。
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Research Products
(12 results)