2013 Fiscal Year Annual Research Report
運動学習・制御における運動野構造の機能解明:統一理論モデルの構築とその応用
Project/Area Number |
13J06713
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
瀧山 健 玉川大学, 脳科学研究所, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 運動学習 / 運動制御 / 神経回路網モデル / 心理物理 |
Research Abstract |
本年度は運動学習の統一理論モデルの構築に挑んだ。多くの運動学習モデルが提案されているものの(Thoroughman & Shadmehr, 2000, Nature, Smith et al.,2006, PLoS Biol)、現象Aを再現できるモデルAは現象Bを再現できない、など既存のモデルは対外に相反する。さらには、既存のモデルでは運動課題がランダムに切り替わると学習効果が高いという構造学習(Braun, 2009, Curr Biol)を再現できない。すなわち、既存の運動学習モデルは不完全である。 申請者は理論的に「運動する前から運動が成功するか失敗するか予測している」、すなわち「誤差の予測」を運動野のニューロンが表現していることが構造学習を再現するための必要条件であることを示した。事実、誤差の予測を表現しているニューロン活動が報告されていること(Popa, 2009, JNs)にも対応する。そして、ニューロン活動が誤差の予測により決定する運動学習モデルを構築した。提案モデルは構造学習を再現し、提案モデルでしか予測できない現象の妥当性を行動実験から示した。さらに、提案モデルは既存モデルが再現できる現象は全てパラメータを変えずに再現できることを確認した。すなわち、「誤差の予測」を取り入れた運動学習モデルは説明能力・予測能力において既存モデルを凌ぐことを示し、現状では運動学習の統一理論モデルの第一歩目となる可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動学習の統一理論モデルは国際学会で発表可能な段階であり、モデルの予測を実証する実験も終え、現在論文を執筆できる段階まできた。そのため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
論文執筆・投稿を終えた後に、さらなるモデルの発展を目指す。具体的には、現在までには片腕の運動に着目しモデルを構築してきたが、今後は両腕運動と片腕運動を同時に包括できる運動学習モデルを構築していく。我々の日常生活では両腕運動と片腕運動を柔軟に切り替えることができるものの、多くの研究は片腕運動のみ、両腕運動のみに着目しており、2種類の運動を同時に考慮できる運動学習モデルは非常に数が少ない。多くの研究結果を同時に再現できる片腕運動、両腕運動の統一理論モデルを構築していく。
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