2014 Fiscal Year Annual Research Report
運動学習・制御における運動野構造の機能解明:統一理論モデルの構築とその応用
Project/Area Number |
13J06713
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
瀧山 健 玉川大学, 脳科学研究所, 特別研究員(SPD)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 運動学習 / 運動制御 / 計算論的神経科学 / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
運動学習の統一理論モデルの構築・応用を目指す本課題であるが、本年度はこの課題が達成できたといっても過言ではない。まず第一に、今まで再現されてこなかったランダム学習を再現するための数学的根拠に基づき、"我々は運動する前から暗黙の内に誤差を予測しており、その誤差の予測が脳活動に影響を与える"という要素をもつ新たな運動学習モデルを提案した。その結果、提案モデルはランダム学習のみならず、既存のモデルでは別々に再現されてきた8個以上の現象を同じ枠組みで同じパラメータで統一的に再現できることを確認した。さらに、提案モデルのみが予測できる効果的なトレーニング方法の存在も示した。そのトレーニング方法とは、"どんなに達成困難な運動でも2回続けて運動することで学習効果が得られる"というものである。事実、この予測が正しいことを実験的に実証した。
本年度は、以上の結果を論文として出版するに至った(Takiyama, HIrashiam, Nozaki, 2015, Nature Comm)。さらに、より脳に近いモデルへ発展するために、運動学習モデルに新たな評価関数を導入すること(Takiyama, 2015, Front Compt Neurosci)や脳活動を再現するモデル(Takiyama, 2015, Sci Rep)も提案した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であった運動学習の統一理論モデルの構築とその応用に成功した年度であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
運動学習は大きく分けて2つの要素に分けることができる(Schmidt, 2000)。それは"頭で考える認知的要素"と"体で覚えて自動化される純粋な運動の要素"である。現在提案している運動学習の統一理論モデルは、あくまで"体で覚えて自動化される純粋な運動の要素"のみをモデル化しているに過ぎない。次年度では、2つの要素を同時に捉える運動学習のモデルを提案していきたい。
|