2013 Fiscal Year Annual Research Report
界面イオニクス現象を利用した大容量蓄電システムの開発
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13J06775
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
髙坂 文彦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 界面イオン伝導 / イオン伝導体 / 蓄電システム / 水素製造 |
Research Abstract |
高効率な大容量蓄電システムおよび畜エネルギーシステムの構築に向けて、異相界面におけるイオンの輸送現象に注目した蓄電技術および水素製造技術の開発を行う。本研究課題では特に、金属酸化物の酸化還元反応を利用した技術に関する研究を行う。金属酸化物の酸化還元反応の二次電池および水素製造技術への利用は、蓄電システムの大容量化や低コスト化へと繋がり、異相界面におけるイオン輸送を利用した構造形成によっては酸化還元反応速度の向上が期待できる。初年度には、金属酸化物の酸化還元反応の促進効果および酸化還元反応機構の解明に着目し研究を行った。 平成25年度には、金属酸化物の酸化還元反応の促進を目的として、種々の担体材料を用いた際の酸化鉄の酸化還元反応の反応促進を観察することで、担体材料中のどのような物性が反応促進に影響を与えるかについての評価を行った。酸化鉄と担体材料の複合酸化物を固相法により台成し、熱重量分析を用いて各種酸化還元性ガスによる酸化還元反応特性を調べた。担体材料としてはジルコニアやセリアに加えて、これら材料に異種元素をドープした材料であるイットリア安定化ジルコニアやガドリニアドープセリアなどの酸化物イオン伝導体を用いた。得られた結果について速度論的解析を行うことで酸化還元反応特性の評価を行った。その結果、担体材料中の酸化物イオン伝導度の上昇に伴って反応速度が向上する傾向を観測した。加えて、水素生成反応である金属鉄の水蒸気による酸化反応においても酸化物イオン伝導体による反応促進効果があることを示し、異相界面における反応促進の可能性を示した。これら成果に関して、国内外の学会において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属酸化物の酸化還元反応の促進を目的として、種々の物性を有する担体材料を用いた酸化還元反応特性の評価を行うことで、反応促進に影響を与える担体材料中の物性に関して議論を行った。得られた結果は更なる反応促進への指針になると考えている。また、水素生成反応である水蒸気を用いた金属鉄の酸化反応においても酸化物イオン伝導体による反応促進効果があることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
異相界面における酸素イオン輸送に関する定量的な評価を目指し、粒子内における酸素ポテンシャル分布の算出に基づいたイオン輸送の促進効果の評価を行う。また、異相界面におけるイオン輸送の直接観察を行うために、担体および酸素キャリアを薄膜として合成した試料について、酸化還元反応測定および形態観察を行う予定である。
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Research Products
(6 results)