2013 Fiscal Year Annual Research Report
反強磁性的な量子揺らぎを用いた量子アニーリングの研究
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13J06788
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
関 優也 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子アニーリング / 量子計算 / 量子揺らぎ / 量子相転移 / 計算複雑性理論 |
Research Abstract |
・研究成果 反強磁性的な量子揺らぎを用いた量子アニーリングが相互作用にランダムネスを含む模型の基底状態を効率的に求められるかを相図を解析することにより調べた. その結果, ランダムネスの度合いが強くない場合に限り効率的に基底状態が得られることが分かった. ・意義と重要性 スピン系の基底状態探索を効率的に行う手法の開発は社会に対し大きな貢献をする. これは, 基底状態探索が組み合わせ最適化問題を解くことに対応しているからである. 組み合わせ最適化問題の例としては ・物流の配送ルートの最短化などがあげられる. この研究が発展すれば, これまで膨大な計算時間がかかっていた最適化問題が短い計算時間で解けるようになることが期待される. 量子アニーリングは量子効果を利用することで組み合わせ最適化問題を効率的に解くことができると期待されている手法である. 通常, 「横磁場」というものを用いて最適解の探索を行う. いくつかの場合で, 従来の手法よりも高速で最適解が得られることが示されている, しかし, 横磁場を用いた場合, 難しい最適化問題になると量子アニーリングでも膨大な計算時間が必要となることがわかってきた. 我々が導入した反強磁性的な量子揺らぎを用いた量子アニーリングはこの困難を解決する可能性がある. 我々の導入した手法は, 非常に簡単な模型に対して従来の量子アニーリングよりも計算時間を大幅に短縮できることがわかっている. 今回, 我々はランダムネスを含んでいるより複雑な模型に対しても効率改善が望めるか研究した. そして, ランダムネスの度合いが強くなければ効率を改善できることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的に挙げたHopfield模型の解析は完了した. しかし, 有限系めモンテカルロ計算はできていない. 目的には挙げていなかったが, 量子アニーリングの計算時間を最短化する演算子を量子最速曲線を用いて求める手法についての研究を始めた.
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Strategy for Future Research Activity |
量子アニーリングの計算時間を最短化する演算子を一般的な原理から導出する手法についての研究を行う. この一般的な原理に当たるのが量子最速曲線の理論である. 反強磁性的な量子揺らぎを用いた量子アニーリングを用いた場合, 計算時間の定量的な改善が実現されるかを調べる. これまでの研究では定性的な変化のみに注目してきた. 従来の量子アニーリングに比べ, 定量的な計算時間の変化しかない場合において, 計算時間がどの程度短くなるのかを調べる.
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Research Products
(7 results)