2014 Fiscal Year Annual Research Report
運動と位置に関する知覚現象を通じた脳内の視覚空間表現の解明
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13J06830
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Research Institution | NTT Communication Science Laboratories |
Principal Investigator |
久方(吹上) 瑠美 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, 客員研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 空間視 / 順応効果 / 錯視 / 距離知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、物体位置から推定される物体間の距離推定について新たな研究を行った。視覚系にとって物体間の距離は、環境の空間構造や奥行きなどを知覚する上で重要な手がかりとなる。視覚系の物体間の距離推定メカニズムについての詳細な研究は少ない。本研究では、この物体間の距離推定メカニズムについて新たな示唆を与える新しい現象を発見した。現象は、ある一定の密度をもつテクスチャ(ドット群)に順応すると、その後呈示される2つのドット間の距離が短く知覚されるというものだった。一般的に知られてる密度順応は、高密度のテクスチャに順応すると、その後呈示されるテクスチャが粗くみえる(低密度にみえる)現象である。各ドット間の距離として考えると、低密度ということはドット間の距離は離れる(長くなる)ため、一般的な密度順応では今回の現象は説明できない。1次元の距離推定だけでなく、2次元の広がりをもつ物体についてもこの効果が得られるか検討したところ、高密度のテクスチャに順応した後は、その後に呈示されるサークルが小さくみえることも発見した。さまざまな補償実験を行ったところ、順応刺激のテクスチャによるサイズ順応等の既存の現象やメカニズムではこの現象は説明できなかった。この現象は、視覚系が物体間の距離やサイズを推定する時に内部の密度信号を用いることを示唆している。 仮説として、物体間の距離を推定するのに、視覚系はその空間内の密度信号の積分値を用いているのではないかと提案した。距離が長い場合には密度信号の積分値が大きくなる。しかし、高密度のテクスチャに順応したことにより内部の密度信号が弱まると、物体間の空間信号の積分値が小さくなる。この積分値が距離推定に用いられていると仮定すると、今回の現象のように知覚距離が短くなるだろう。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)