2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J06869
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西井 奨 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ラテン文学 / オウィディウス / ホラティウス / 弁論術 / 詩論 |
Research Abstract |
本研究は、古代ローマの文芸における理論面(弁論術・詩学)の分析と、その理論面の分析を踏まえたうえで実作たる作品を分析するものである。本年度の研究は、以下のように大きく三つの方向性に分けることができる。第一の方向性は、このような研究の準備段階のものとしてのオウィディウスの作品研究である。ここでは主に『名高き女たちの手紙』について作品の特質やテクストの校訂について分析・調査をした。この研究成果を「Ovid. Heroides12再考――手紙に隠されたメーデイアの真意」として京都大学西洋古典研究会例会にて発表し、また「Ovidius Heroides 4.175-176――ヒッポリュトスの拒絶を危惧するパイドラー」として第12回 フィロロギカ研究集会にて発表した。またさらに、国際ワークショップにおいてもこのような研究成果を発表する機会を得、「Hercules' Honor and Dishonor : Deianira in Ovid Heroides 9」としてKyoto-UCLA student workshop on Inde-Europeanにて発表した。第二の方向性は西洋古典古代における弁論術と詩学関連のテクストの精読・調査である。ここでは、アリストテレス『弁論術』やキケロ『弁論家について』などの弁論術関連のテクストや、アリストテレス『詩学』やホラティウス『詩論』などの詩学関連のテクストを対象として取り組んだ。またホラティウス『詩論』については一定の研究成果を得ることができ、これについては、「ホラーティウス『詩論』における詩人の「狂気」と「霊感」」として美学会西部会第295回研究発表会にて発表した。第三の方向性は、弁論術関連のテクストを踏まえた上での実作の分析である。ここではオウィディウス『名高き女たちの手紙』がどのようにして弁論術的要素を取り込んでいるかについて検討を施した。この成果として、「オウィディウス『名高き女たちの手紙』第4歌「パイドラーからヒッポリュトスへの手紙の構成について――弁論術とエウリーピデース『ヒッポリュトス』との関連から」として名古屋大学西洋古典研究会例会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
継続的に研究成果を発表し続けることができたため。とりわけ美学会で発表できたことは大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
より研究の精度を上げるため、海外の研究機関において一定期間滞在し研究を進める。またこれまで以上にギリシア語・ラテン語テクストを精査し、また弁論術の観点からの研究には、ウァレリウス・マクシムスのテクストも扱うようにする。
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Research Products
(7 results)