2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J06891
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木山 朋美 東北大学, 大学院歯学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ビスホスホネート / 顎骨壊死 / トランスポーター |
Research Abstract |
本研究の目的はビスホスホネート(BP)の細胞内取り込み機序の同定から、BP関連顎骨壊死(Bronj)の発症機序の解明・治療法の確立へと発展させることである。BPの細胞内取り込み機序を同定するにあたり、細胞膜輸送機構のひとつである、リン酸トランスポーターに着目した。薬物の多くは、トランスポーターを介して細胞内に取り込まれることが既に知られており、それらは「薬物トランスポーター」と呼ばれている。また、リン酸などの内因性基質と構造が類似する薬物も、同じトランスポーターによって輸送されるケースが多数報告されている。BPは化学構造にリン酸基をもつため、リン酸トランスポーターによって輸送される可能性は非常に高いと考えられる。 同トランスポーターの関与を検討するため、研究実施計画に基づき、その阻害剤であるPhophonoformic acid (PFA)を用いて、BPのマウス耳介皮下注射後の壊死発症頻度を指標として、PFA併用投与の影響を検討した。観察は24時間毎に行った。BPが、濃度依存的に壊死を発症させることは、既に当研究室において確認済である(Oizumi et al. Basic Clin Pharmacol Toxicol. 2009)。今回の実験結果から、BP単独投与群と比較し、PFAとの併用投与群において、壊死発症頻度の抑制がみられることが示された。この効果をさらに検討する為、まず、放射線同位元素標識BPの細胞内取り込み量に及ぼす効果を検討した。その結果、PFAは放射線同位元素標識BPの細胞内取り込み量を抑制した。以上の結果は、2013年10月に国際誌に発表済である。他方、Bronjの病態をより反映したマウス顎骨壊死モデルを用いて、BPとPFAの効果を検討した。この顎骨壌死モデルでは、BPを7日毎に1か月間、腹腔内注射した後、第一大臼歯の抜歯を行い、その2週間後に顎骨壊死発症頻度の評価を行った。その結果、BP単独投与群に比べ、PFA併用投与群では、顎骨壊死の発症が抑制された。 以上の結果より、BPはリン酸トランスポーターを介して細胞内に取り込まれ、同機序は、Bronj抑制の分子標的になる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成25年度の研究実施計画に基づき、着実に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ビスホスホネートの細胞内取り込み機構として、リン酸トランスポーターと同定するため、今後、以下の実験を行う予定である。まず、リン酸トランスポーター遺伝子ノックダウンおよび導入細胞株における、細胞毒性・細胞内取り込みへの効果の検討を行う。また、マウス顎骨壊死モデルを用いた実験においては、リン酸トランスポーター遺伝子ノックアウトマウスを用いて、顎骨壊死発症への影響を検討する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Inflammatory and necrotic effects of minodronate, a nitrogen-containing bisphosphonate, in mice.2013
Author(s)
Kiyama T, Okada S, Tanaka Y, Kim S, Bando K, Hasegawa M, Yamaguchi K, Takano-Yamamoto T, Sasaki K, Sugawara S, Endo Y.
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Journal Title
The Tohoku Journal of Experimental Medicine
Volume: 230
Pages: 141-149
Peer Reviewed
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