2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J06903
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 尚子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物形態変化 / 病原微生物 / 病原性因子 |
Research Abstract |
植物病原微生物は個々の特有の病原性因予によって宿主にあらゆる形態変化を及ぼす。一方で植物は、異なる病源微生物の感染であっても類似した病徴を示すことがある。萎縮・叢生はその一つで、ウイルス、バクテリア、菌類を含むあらゆる病原微生物の感染においてみられる病徴である。本研究では、萎縮・叢生症状を引き起こす2つの病原性因子を標的に、同一宿主植物でこれらの病徴発現を比較解析し、萎縮・叢生に至る植物形態変化の共通分子基盤の解明を目的とする。病原性因子は、ウイルスであるPVM由来のCRP (Cysteine Rich Protein)と、バクテリアであるファイトプラズマ由来のTENGUを用いる。両者は全く異なる微生物由来の病原性因子だが、萎縮・叢生症状を引き起こす点で共通する。H25年度は、萎縮・叢生の病徴誘導に関わる病原性因子のアミノ酸領域を推定するため、同属ウイルスにコードされるCRPと同属他種ファイトプラズマのTENGUホモログをウイルスベクターで発現させ、接種植物の病徴を観察した。その結果、CRPについてはPVM以外の同属他種ウイルスでは、萎縮・叢生病徴を誘導しないことがわかった。また、病徴誘導能の異なるCRPアミノ酸配列の比較から、約40アミノ酸が萎縮・叢生症状に関与していることが推測された。TENGUは38アミノ酸からなる低分子タンパク質である。比較したTENGUホモログは他種間であっても高い相同性をもつことがわかった。また、全てのホモログが萎縮・叢生症状を誘導した。これらの結果から、TENGUには萎縮・叢生の病徴誘導能が高く保存されているものの、CRPでは病徴誘導能の保存性は低いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物の形態形成を制御する生理活性ペプチドは、その一部が翻訳後プロセシングを受けることが知られている。TENGUの萎縮・叢生病徴誘導におけるプロセシングの関与を調べた結果、TENGUは植物体内でプロセシングされることがわかった。CRPは約100アミノ酸からなるが、病徴誘導能の異なるCRPの配列相同性から、萎縮・叢生病徴誘導に関与する領域はおよそ40アミノ酸であると推測された。植物病原微生物の病原性因子は、植物体内での分解を介して病徴発現に至る可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
植物体内で生じる病徴発現ネットワーク解明の一環として、CRPとTENGUのタンパク質構造解析を行った。無細胞タンパク質合成系を用いて、CRPとTENGUタンパク質を調整後、フォールディング判定を行い、NMRによる三次元構造解析を試みた。その結果、TENGUはフレキブルな構造をとることがわかった。CRPのNMR構造解析については、いくつかの条件検討が必要であり現在解析を進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Recognition of floral homeotic MADS-domain transcription factors by a phytoplasmal effector, phyllogen, induces phyllody2014
Author(s)
Maejima K., Iwai R., Himeno M., Komatsu K., Kitazawa Y., Fujita N., Ishikawa K., Fukuoka M., Minato N., Yamaji Y., Oshima K., Namba S.
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Journal Title
The Plant Journal
Volume: (印刷中)
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A replicase of potato virus X acts as the resistance-breaking determinant for JAX1-mediated resistance.2013
Author(s)
Sugawara, K., Shiraishi, T., Yoshida, T., Fujita, N., Netsu, O., Yamaji, Y., Namba S.
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Journal Title
Molecular Plant_Microbe Interactions
Volume: 26
Pages: 1,106
DOI
Peer Reviewed
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