2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J06903
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
藤田 尚子 東京農工大学, 農学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウイルス / バクテリア / 病原性因子 / 病徴発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物病原微生物は個々の特有の病原性因子によって宿主にあらゆる形態変化を及ぼす。一方で植物は、異なる病原微生物の感染であっても類似した病徴を示すことがある。萎縮・叢生はそのひとつで、ウイルス、バクテリア、菌類を含むあらゆる病原微生物の感染においてみられる病徴である。本研究では、すでに得られているバクテリアおよびウイルス由来の病原性因子を用いて、それらが引き起こす共通病徴「萎縮・叢生」の共通分子メカニズムを解明することを目的とする。 本年度は、近年植物の形態形成に深く関与することが明らかになりつつある小分子RNAについて、大規模シークエンスを用いて解析した。バクテリアであるファイトプラズマの病原性因子tenguを形質転換したシロイヌナズナと野生型シロイヌナズナを比較し、萎縮・叢生病徴発現による小分子RNAの発現変動を調べた。その結果、tengu形質転換シロイヌナズナでは、オーキシンに関連する小分子RNAに有意な発現変動が認められた。この結果から、ファイトプラズマは小分子RNAを介して植物ホルモン関連遺伝子に作用し、これが萎縮・叢生病徴を及ぼしていることが示唆された。 この結果はtengu形質転換シロイヌナズナにみられる不稔症状とも関係する可能性が考えられた。そこでtengu形質転換シロイヌナズナの内生植物ホルモン量を調べたところ、オーキシンとジャスモン酸の有意な減少が認められた。病原性因子tenguは、少なくとも2つの植物ホルモンに作用し、これが植物のかたちを変化させる原因となっていることが明らかになった。植物ホルモンの減少は、萎縮・叢生だけでなく、花芽器官にも形態異常を引き起こし、これが不稔症状につながることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的のひとつ、病原性因子tenguが作用する植物因子を特定することができたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で注目する萎縮・叢生を引き起こすウイルスの病原性因子CRPの植物因子特定に取り組み、特定された植物因子をtenguの作用因子と比べる。さらに菌類においても萎縮・叢生病徴を示す菌株が得られたため、これを対象に菌類の病原性因子の解析を実施する。これらの結果から、ウイルス、バクテリア、菌類を含めた病原微生物群の病徴発現ネットワークの共通性を見いだす。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Complete nucleotide sequence and genome structure of a Japanese isolate of hibiscus latent Fort Pierce virus, a unique tobamovirus that contains an internal poly(A) region in its 3' end2014
Author(s)
Yoshida T., Kitazawa Y., Komatsu K., Neriya Y., Ishikawa K., Fujita N., Hashimoto M., Maejima K., Yamaji Y., Namba S
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Journal Title
Archives of Virology
Volume: 159
Pages: 3161-3165
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Recognition of floral homeotic MADS-domain transcription factors by a phytoplasmal effector, phyllogen, induces phyllody2014
Author(s)
Maejima K., Iwai R., Himeno M., Komatsu K., Kitazawa Y., Fujita N., Ishikawa K., Fukuoka M., Minato N., Yamaji Y., Oshima K., Namba S
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Journal Title
The Plant J
Volume: 78
Pages: 541-554
DOI
Peer Reviewed
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