2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J06946
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
志摩 喬之 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オートファジー / 出芽酵母 / オートファゴソーム / 膜の前駆体 |
Research Abstract |
オートファジーは細胞内成分の主要な分解機構の一つであり、オートファジーが誘導されると「オートファゴソーム」と呼ばれる二重膜構造体が形成される。オートファゴソーム形成には多数のAtgタンパク質が必須である。その分子メカニズムを理解する上で、オートファゴソーム膜の伸張機構は最大の謎であり、その解明は不可欠である。 本年度においては出芽酵母を用いて、「オートファゴソーム膜の前駆体」の電子顕微鏡解析による形態解析や、小胞体上の膜繋留装置及び膜融合を駆動するSNAREタンパク質のオートファゴソーム形成における役割の解析をおこなった。 その結果、電子顕微鏡解析により膜の前駆体は、オートファゴソーム形成に必須の膜タンパク質であるAtg9を含む小胞が複数個会合し形成された構造体であることが示唆された。さらにその膜構造体には膜伸張に重要なAtg8とホスファチジルエタノールアミンとの結合体が含まれることが示唆された。 この電子顕微鏡解析により初めて膜の前駆体の形態の観察に成功した。この形態観察はオートファゴソーム膜の伸張メカニズムを解明する際の重要な知見になる。 また、小胞体上の膜繋留装置及びSNAREタンパク質をノックダウンした細胞では、オートファゴソーム形成に欠損が生じること、さらにその欠損は前駆体膜の形成、もしくはその後の膜伸張の段階で生じることが示唆された。 オートファゴソーム膜の伸張メカニズムを解明する上で、Atgタンパク質のみならずこれら小胞体上の膜繋留装置及びSNAREタンパク質の存在も重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子顕微鏡解析により、「オートファゴソーム膜の前駆体」の形態や、前駆体膜の形成もしくはその後の膜伸張の段階に関与する膜繋留装置とSNAREタンパク質を明らかにした。形態に関しては真に膜の前駆体であるか否かの議論の余地が残されているものの、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究成果を踏まえ、膜の前駆体についてさらに詳細に解析を進めるとともに、オートファゴソーム形成への関与が明らかとなった、小胞体上の膜繋留装置及びSNAREタンパク質が直接的にAtgタンパク質と共同して機能しているか否かの詳細な解析を進めていくことを想定している。
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