2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J06946
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
志摩 喬之 東京工業大学, 生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オートファジー / 出芽酵母 / オートファゴソ―ム / 膜の前駆体 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは細胞内成分の主要な分解機構の一つであり、オートファジーが誘導されると「オートファゴソーム」と呼ばれる二重膜構造体が形成される。オートファゴソーム形成には多数のAtgタンパク質が必須である。その分子メカニズムを理解する上で、オートファゴソーム膜の伸張機構は最大の謎であり、その解明は不可欠である。 これまで、出芽酵母を用いた「オートファゴソーム膜の前駆体」の電子顕微鏡解析による形態解析から、膜の前駆体は、オートファゴソーム形成に必須の膜タンパク質であるAtg9を含む小胞に、膜伸張に重要なAtg8とホスファチジルエタノールアミンとの結合体が含まれることが示唆されていた。本年度においては、電子顕微鏡解析による形態解析及び、共免疫沈降法による生化学的な解析から、膜の前駆体には、Atg1タンパク質キナーゼ複合体のコンポーネントであるAtg1、Atg17や、オートファジー特異的なPI3キナーゼ複合体のコンポーネントであるAtg14や、その産物であるPI3Pが含まれていることを示した。さらにこの膜の前駆体にはいくつかのSNAREタンパク質が含まれていることが示された。 また、膜の前駆体に含まれているSNAREタンパク質の一つは、これまでの解析から、ノックダウンによって、オートファゴソーム形成に欠損が生じること、さらにその欠損は前駆体膜の形成、もしくはその後の膜伸張の段階で生じることが示唆されていた。本年度においては、蛍光顕微鏡解析により、このSNAREタンパク質がオートファジー誘導条件下において、オートファゴソーム形成の場及び、伸張途中の膜に一様に局在することが示された。 まとめると、膜の前駆体の構成タンパク質や、前駆体膜の形成もしくはその後の膜伸張の段階に関与するSNAREタンパク質を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究員は昨年度において、「オートファゴソーム膜の前駆体」の電子顕微鏡解析による形態解析や、小胞体上の膜繋留装置及び膜融合を駆動するSNAREタンパク質のオートファゴソーム形成における役割の解析を進めていた。これまで、電子顕微鏡解析により膜の前駆体にはAtg9を含む小胞、さらにAtg8とホスファチジルエタノールアミンとの結合体が含まれていることを示していた。本年度において、さらにこの膜の前駆体には、オートファゴソーム形成に必須のAtg1、Atg17、Atg14(PI3K複合体のコンポーネント)が含まれていることを示した。また、オートファゴソーム形成においてPI3K複合体が必須であるが、PI3P結合タンパク質を用いた解析から、膜の前駆体上にPI3Pが存在することを示した。さらに、共免疫沈降解析や電子顕微鏡解析から、この膜の前駆体にはいくつかのSNAREタンパク質が含まれていることが示された。これらの結果はオートファゴソーム膜の伸張メカニズムを解明する上で非常に重要な知見であり、期待通り研究が進展したと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は平成26年度の研究成果を踏まえ、膜の前駆体についてさらなる構成因子の探索や、細胞内におけるオルガネラとの関係などの解析を進めるとともに、in vitroでの膜の前駆体を用いた再構成系の構築に取り組む予定だ。 また膜の前駆体に存在するSNAREタンパク質のオートファゴソーム形成における機能に関して、Atgタンパク質との相互作用の探索などをおこない、詳細な解析を進める予定だ。
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