2014 Fiscal Year Annual Research Report
Ras-ERK経路制御系の幹細胞および細胞老化における意義の解明
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13J06986
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 麻友 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Spred / シグナル伝達 / ERK / 骨髄細胞 / ILC2 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ras/ERK経路抑制因子Spred1およびSpred2は機能が相補的であり、且つこれらの両欠損マウスは胎生致死であるためその機能解析は困難であった。本課題である造血幹細胞におけるSpredの役割を解析するため、血球系細胞特異的な両欠損(cDKO)マウスを作成した。これを用いて各血球系細胞の分布を調べたところ、cDKOマウスにおいて血球系細胞数の増加が見られた。また、cDKOマウスにおいて骨髄球系細胞の割合が顕著に増加していた。そこでこれらの前駆細胞および造血幹細胞におけるSpred欠損の影響を調べようとしたが、cDKOマウスの繁殖効率が悪く今後の研究に差し支えると判断したため、これまでの血球細胞特異的なTie2遺伝子を用いたコンディショナルノックアウトの系ではなく、タモキシフェン誘導性に標的遺伝子をノックアウトできるERT2-creを用いたシステムに切り替えた。その結果、Tie2-creを用いていた時と同様、骨髄球系細胞の著明な増加を確認した。今後これらの前駆細胞にSpredが影響を及ぼすか調べていく方針である。 一方でSpred1の機能解析の一環として、気道炎症モデルにおけるSpred1の役割を解析した。先行研究においてSpred1欠損マウスではTh2型サイトカインの過剰産生を伴うアレルゲン誘導性気道炎症が亢進することが分かっていた。しかし、Spred1はTh2細胞の分化やサイトカイン産生能には影響を及ぼさず、Th2型サイトカインの過剰産生源は不明だった。近年Th2型サイトカインを産生する新たな細胞群として2型innate lymphoid cell (ILC2)が報告されたため、Spred1のILC2に対する影響を解析した。その結果、Spred1はILC2の増殖、生存、サイトカイン産生能の全てを抑制することで、気道炎症の増悪を抑制していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
cDKOマウスの繁殖効率が悪いためやや進行が遅れていた面もあるが、cDKOマウスにおいて骨髄球系細胞数が顕著に増加していることを確認している。一方でILC2の増殖、生存、サイトカイン産生能にSpred1が関与していることや、その分子メカニズムを示し、現在論文投稿中である。このように本研究は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
cDKOマウスの繁殖効率が悪い問題を解決するため、これまでの血球細胞特異的なTie2遺伝子を用いたコンディショナルダブルノックアウトの系ではなく、タモキシフェン誘導性に標的遺伝子をノックアウトできるERT2-creを用いたシステムに切り替えた。その結果、Tie2-creを用いていた時と同様、骨髄球系細胞の著明な増加を確認した。今後これらの前駆細胞にSpredが影響を及ぼすか調べていく方針である。
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Research Products
(2 results)