2014 Fiscal Year Annual Research Report
シュルレアリスムの芸術創造における科学的思考ーハンス・ベルメール作品を中心にー
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13J06993
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松岡 佳世 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シュルレアリスム / 20世紀美術 / アヴァンギャルド / ハンス・ベルメール |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、同時代の自然科学における言説をハンス・ベルメールの制作に関わりの深い他作家たちがどのように受容していったかについて調査を行った。その結果、彼らの自然科学への関心は、テクストであれ造形作品であれ、その表現対象の主体化という事態への関心に結びついていると考えられた。この表現対象の主体化という問題は、ベルメールにおいてはしばしば自我と外界の間の〈交換可能性〉という概念によって扱われており、同時代の他作家の中でベルメール作品の座標を設定していく時に有効な軸であろうと思われる。 そこで本年度は、とりわけ作家の〈交換可能性〉概念が発展する戦中戦後、マックス・エルンスト、ジョルジュ・バタイユとともにベルメールが行った共同制作に注目し、両者の比較考察と、これを実証する事実関係の細部を確認していく作業を行った。この作業はまず、昨年から準備を行っていたパリでの資料調査を中心に進められた。ベルメールのカタログ・レゾネ編纂中の研究者と本研究に関する意見交換を行う機会を得、その際ベルメール作品を網羅的に把握できる貴重な一次資料を得た。加えて昨年度より遺族と交渉を進めていたジャック・ドゥーセ文学図書館でのベルメールによるアンドレ・ブルトン、トリスタン・ツァラ、パトリック・ワルドベルグ宛書簡の調査は、予想外の分量が保管されており時間はかかったものの、精読および記録が完了した。これらの資料的充実は、本研究テーマに留まらず、これまで行ってきたベルメール作品研究成果についても新たな裏付けを与えてくれるものであった。帰国後は以上の成果をもとにまずはエルンストを軸にした内容をまとめ、第65回美学会全国大会にて口頭発表を行った。バタイユについては現在分析中であるが、来年度中に雑誌への投稿を予定している。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)