2013 Fiscal Year Annual Research Report
白血病ウイルス由来タンパク質、TaxのX線結晶構造解析
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13J07005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 一希 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウイルスタンパク質 / X線結晶構造解析 / 自然免疫 / NF-kB / cGAS / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究ではX線結晶構造解析によってTax-NEMO複合体の立体構造を決定し, TaxがNEMOと結台してNF-κB経路を活性化するメカニズムを解明することを目的としている. 本年度は、結晶化に最適なコンストラクトを探索するために、TaxとNEMOの結合領域の特定をおこなった。申請者は、様々な領域のTaxを大腸菌、および、昆虫細胞発現系を用いて、発現・精製を試みたが、Taxの天然変性タンパク質に特徴的な不安定性のために精製することはできなかった. そこでTax全長のN末端にSUMOタグを付加したコンストラクトを作製し、同様に発現・精製をおこなうことでTaxタンパク質を調製することに成功した。そこで、様々な領域のTax、および、NEMOを大腸菌内で共発現させた後に、プルダウンアッセイをおこなった。その結果、TaxとNEMOとの結合には、Tax、NEMOの数十アミノ酸残基が重要であることが分かった。結晶化に必要量、高純度のTaxを調製するために、このHis-SUMO-Taxを大腸菌発現系によって大量発現させた。しかしながら、このTaxはSUMOタグを除去すると、変性し沈殿してしまったことから不安定であると考えられる。マルトース結合タンパク質(MBP)はしばしば、構造的にフレキシブルなタンパク質を安定化させることが報告されている。今後の展望として、TaxをMBP融合タンパク質として発現・精製をおこない、NEMOと共結晶化することを試みる。 さらに本年度からウイルス感染によって惹起される炎症応答に関わるタンパク質として、cGASタンパク質の構造解析に取り組んでいる。決定したcGASの構造、および、機能解析から、cGASは正電荷を帯びた溝を介して、ウイルスの持つDNAを認識していることを明らかにした。本研究成果は、PLoS ONEに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Taxの結晶構造解析については、Tax-NEMOの結合領域を同定し、計画通りに進んでいる。加えて、本年度から着手したウイルス感染の際にシグナルを伝達するタンパク質cGASについて、cGASの構造決定、論文投稿と順調に研究を推進することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、Tax-NEMOについては、得られたコンストラクトの発現・精製をおこない、NEMOと共結晶化をおこなう。 cGASについては、cGASの上流、もしくは、下流で働いてcGASを制御するタンパク質の探索をおこなう。もし、cGASの関与するシグナル伝達を制御するタンパク質が得られたら、構造解析をおこない、その分子基盤を解明する。
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