2013 Fiscal Year Annual Research Report
メダカを用いたin vivOイメージング技術を基盤とした骨折修復メカニズムの解析
Project/Area Number |
13J07025
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
武山 和弘 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | メダカ / 骨折修復 / ライブイメージング / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
骨折修復は骨発生に関わる細胞群を特異的に誘導することから、骨研究のモデルとして古くから研究されてきた。しかし、哺乳動物を用いた従来の実験系では、細胞を生きたまま観察することが困難であった。本研究では、メダカを用いた骨折修復のin vivoイメージングを基盤として、破骨細胞と骨芽細胞の細胞起源・分化誘導メカニズム・機能制御メカニズムの3点を明らかにすることを目的としている。そこで、今年度は以下の点について解析を進めた。 (1)破骨細胞と骨芽細胞の細胞起源の解析 これまでの実験で、破骨細胞も骨芽細胞も骨折部で急激に増加することがわかっていた。これら破骨細胞と骨芽細胞がどこから現れるのかを、トランスジェニックメダカを用いたライブイメージングにより検討した。現在、前駆細胞を標識するトランスジェニックメダカを用いてより詳細な解析を行おうとしているところである。 (2)破骨細胞と骨芽細胞の分化誘導機構の解析 骨折修復に応答してcox2の発現が誘導され、それが破骨細胞の誘導に必要であることを以前に示した。半定量PCRによる下流の受容体の発現解析から、EP4bの発現が破骨細胞誘導に関わりがあることが示唆された。また、血管内皮細胞を可視化するトランスジェニックメダカを作製することに成功し、cox2との発現箇所を比較することでより詳細に発現細胞を特定しようとしている。さらに、組織の炎症に関わる別の経路として、TGFbシグナルに着目した。阻害剤による細胞挙動の変化を観察したところ、TGFbシグナルの阻害は破骨細胞の分化と骨芽細胞の分化および移動に異常を引き起こした。 上記の成果を元に、メダカを用いた骨折実験系の確立に関する論文を投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
破骨細胞と骨芽細胞の出現から骨折部への集合までをライブイメージングすることに成功し、それぞれの由来が明らかになった。また、TGFbシグナルの阻害が破骨細胞と骨芽細胞の挙動に与える影響を生きたまま観察し興味深い実験結果を得ることができた。当初の予定通り、骨折の実験系の確立に関する最初の論文を投稿中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)破骨細胞と骨芽細胞の細胞起源解析 : 前駆細胞を蛍光標識したトランスジェニックメダカを作製することで、前駆細胞の由来を特定していく。また、光変換やCre-10xPシステムによる組み換え技術により、特定の細胞を標識できる実験系を構築し細胞運命を追跡していく。 2)破骨細胞と骨芽細胞の分化誘導解析 : TGFbがどのように破骨細胞と骨芽細胞に作用するのかを調べるために、下流の受容体のシグナル伝達を解析する。機能欠損型の受容体を特定の細胞に発現させることで、細胞特異的な作用阻害を行いその働きの詳細を解析する。 3)破骨細胞と骨芽細胞の機能制御解析 : 骨芽細胞と破骨細胞の間には相互に機能制御を行う因子が存在しているかとうが調べるために、骨芽細胞で時期特異的に致死遺伝子が発現するトランスジェニックメダカを作製し検討する。
|
Research Products
(3 results)