2014 Fiscal Year Annual Research Report
メダカを用いたin vivoイメージング技術を基盤とした骨折修復メカニズムの解析
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13J07025
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
武山 和弘 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メダカ / 骨折修復 / ライブイメージング / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / TGFbeta |
Outline of Annual Research Achievements |
骨折修復は骨発生に関わる細胞群を特異的に誘導することから、骨研究のモデルとして古くから研究されてきた。しかし、哺乳動物を用いた従来の実験系では、細胞を生きたまま観察することが困難であった。本研究では、メダカを用いた骨折修復のin vivoイメージングを基盤として、破骨細胞と骨芽細胞の細胞起源・分化誘導メカニズム・機能制御メカニズムの3点を明らかにすることを目的としている。そこで、今年度はこれまでの実験成果を論文にまとめ国際誌で発表すると共に、以下の点について解析を行った。 1. TGFbシグナルによる骨芽細胞・破骨細胞制御メカニズムの解析 これまでの実験成果により、TGFbシグナルが骨芽細胞の移動と破骨細胞の分化誘導に関与することがわかっていた。今回は、骨芽前駆細胞を可視化する遺伝子組み換えメダカを用いて、TGFbシグナルの骨芽細胞分化に対する影響を調べた。また、TGFb阻害剤処理を行った骨折部分のmRNAからcDNAライブラリを作製し、破骨細胞分化因子の遺伝子発現変化を解析した。 2. TGFb活性化メカニズムの解析 骨折修復過程におけるTGFbの遺伝子発現をRNA in situ hybridizationにより解析した。TGFbは分泌されるものに加え、潜在型として骨質などに埋まっていることが知られている。そこで、潜在型TGFbを活性化するといわれている組織プロテアーゼの遺伝子発現解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、本年度は国際誌への論文投稿を行うことができた。 また、TGFbの機能の解析を行い、骨折修復過程での生きた細胞挙動を観察できる本実験系により、破骨細胞と骨芽細胞に対する役割を明らかにしつつある。TGFbは作用する組織や量によって、異なった働きをしており、大きな炎症を伴う哺乳動物を用いた従来の実験系では解析が困難で、骨修復における役割は明らかにされていなかった。本実験系において、骨修復に関わる特異的なTGFbと活性化メカニズムが存在することが示唆されており、TGFbシグナルTGFbの機能について新しい知見が得られることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 骨芽細胞と破骨細胞におけるTGFbシグナルの機能解析 骨芽細胞については、骨形成または骨吸収、細胞移動と細胞分化に着目して、TGFbシグナルがいずれの機能制御に関与しているのかを、骨芽細胞または破骨細胞を可視化する遺伝子組み換えメダカ、それぞれの前駆細胞を可視化する遺伝子組み換えメダカを用いて解析する。 2. 潜在型TGFb活性化メカニズムの解析 TGFbシグナル活性化に関わると考えられる因子に関して、in situ hybridizationを行い、遺伝子発現の時期や局在から、特に重要な機能を持っていると考えられるものを特定する。続いて、阻害剤を用いて、破骨細胞や骨芽細胞に対する影響を調べ、TGFb阻害時と同様の結果が得られるかどうかを確かめる。 3. TGFb下流のメカニズムの解析 細胞内のTGFbシグナルカスケードの因子に関して抗体染色を行い、シグナル経路の特定と、TGFbシグナルを受容している細胞の特定を行う。
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Research Products
(4 results)