2014 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーによるオルガネラ品質管理のマウス生体を用いた解析
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13J07082
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉井 紗織 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オートファジー / 貧血 / 鉄欠乏 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経以外で全身でオートファジーを欠損したマウスモデル(以下、ノックアウトマウスとする)を用い、オートファジーの生理的意義を解析している。前年度のスクリーニングの結果からこのノックアウトマウスは鉄欠乏を呈することが観察され、間接的証拠から鉄の吸収異常が疑われていた。 今回、コントロールマウスとノックアウトマウスをともに鉄欠乏にして比較するため、両群に鉄欠乏食を与え、鉄吸収関連因子の転写誘導を観察した。コントロールマウスでは鉄含有食を与えた群と比較し、鉄欠乏食を与えた群で非常に劇的に鉄関連因子のmRNAが上昇した。一方、ノックアウトマウスは通常状態で鉄欠乏であるにもかかわらず、これらの因子が上昇しておらず、また、鉄欠乏食を与えたときもコントロールマウスと比較しmRNAの上昇が有意に低いことが観察された。このことから、ノックアウトマウスは鉄欠乏時における鉄吸収関連因子の発現が不十分であることが示された。同様に、生理的に鉄要求性の高い若齢マウスを解析したところ、鉄エクスポーターのmRNA発現が有意に低下していることが観察された。以上のことから、ノックアウトマウスは鉄吸収に必要な因子の発現低下により鉄欠乏を呈することが示唆された。 鉄吸収の制御は肝臓からのホルモンによる抑制性の制御と小腸上皮における転写誘導による促進性の制御が知られる。現在、ノックアウトマウスで観察される鉄吸収不全の原因が上記のどちらの原因によるか、小腸上皮特異的オートファジー不全マウスおよび肝臓オートファジー不全マウスを用い解析しているところである。小腸上皮特異的オートファジー不全マウス、肝臓オートファジー不全マウス共に通常状態では鉄欠乏を呈さないことが観察されている。今後、これらのマウスで鉄欠乏食を与えたときに鉄トランスポーター発現誘導不全が観察されるか解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に行ったスクリーニングより、ノックアウトマウスは鉄欠乏を呈することが明らかになっていた。その原因として鉄の吸収に異常がありそうだということが明らかになった。鉄の吸収異常の原因として、小腸上皮における鉄吸収に必要なトランスポーター等の発現誘導が不十分であることが観察された。現在臓器特異的ノックアウトマウスを作製し、原因となる臓器を特定するための解析を進めている。以上より、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
小腸上皮特異的オートファジー不全マウスと肝臓オートファジー不全マウスモデルを解析することで、小腸における鉄吸収不全が小腸内因性の原因であるか、肝臓からのホルモン(特にヘプシジン)制御であるかを調べる。また、神経特異的オートファジーレスキューマウスで観察される鉄関連因子の発現誘導不全がこれらの臓器特異的ノックアウトマウスで観察されるかを解析する。そして、観察される異常の直接的原因を精査していく予定である。また、得られた結果を論文としてまとめ、発表する予定である。
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