2013 Fiscal Year Annual Research Report
痒みの伝達に関与する新規受容体の神経行動学的および分子生物学的解析
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13J07087
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中山(直野) 留美 宮崎大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-26 – 2016-03-31
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Keywords | neurokinin-1 receptor / サブスタンスP / ヘモキニンー1 / 痒み |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系における新規の痒み受容体の探索を目的として、これまで進めてきたサブスタンスP(SP)の受容体であるneurokinin-1受容体(NK1R)の疼痛系における研究を基とし、新規の痒み受容体の同定を進める。 具体的には、NK1Rおよびその受容体に相同性のある受容体だけでなく、疼痛系においてNK1Rと機能的関連性が報告されている数種の受容体に着目し、脊髄のくも膜下腔に留置したカテーテルを介してsiRNAを投与し、ノックダウン動物を作製する。そこでこれらの動物に対する疼痛および痒み行動学的な評価を進める。平成25年度は主にノックダウン動物に対する痒みおよび疼痛行動の解析を進めた。その結果、NK1Rのノックダウン動物では痒み行動がノックダウンしていない動物と同様の痒み行動を示すなど、標的とするsiRNAの種類によって痒みおよび痛み行動に対する行動の違いが認められた。またこの結果は、NK1Rが痒みの伝達に寄与しないことを示すことができ、NK1R以外の受容体を標的とした新たな痒み受容体の探索が求められることとなった。 さらに今年度はNK1RおよびNK1Rに相同な受容体の安定発現株の培養細胞の作製を行った。作製した安定発現株に候補となるリガントを探索するために、NK1Rに対して親和性のあるサブスタンスP(SP)およびSPと同族のファミリーペプチドであるヘモキニン-1(HK-1)をリガンドの候補として用い、リガント添加に伴う細胞内カルシウムの変化を評価し、リガンドと受容体との関係をin vitro系にて解析を進めた。 これらの結果より、HK-1をリガンドとするNK1Rに相同性のある受容体の存在を示唆する結果が得られ、この受容体を介して痒み伝達に寄与する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックダウン動物による行動学的解析を進めていたところ、この遺伝子に特異的な痒み行動が認められた。この問題を解決するには、NK1Rに相同性な受容体の遺伝子改変動物における行動学的な解析が必要であり、新たに遺伝子改変動物を作製し、これらの受容体の痒み伝達系での特徴を明らかにする必要が生じた。そのため、平成25年度計画していた研究の一部を変更し、平成26年まで今年度の実験を継続した。また、今年度の実験結果だけでは研究目的の一部は達成された。 具体的には、NK1Rと相同性のある受容体のリガンドがヘモキニン-1(HK-1)であることを支持する結果が安定発現株の結果より得られた。また、NK1RおよびNK1Rの相同性のある受容体がHK-1に対して親和性が高いことを示唆する結果となったことである。
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Strategy for Future Research Activity |
変更した研究計画に従って平成26年度に引き続き研究を進めていく。具体的には、新たに遺伝子改変動物を作製と並行して当初の計画としているオーファン受容体の形態学的な特徴や生化学的な解析による受容体の機能を解析する。
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Research Products
(4 results)