2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J07095
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
李 鎭榮 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 十二神尋 / 十二支 |
Research Abstract |
2013年度は、これまでの成果を東方学会で口頭発表した。従来までは、統一新羅の石塔に登場する獣頭人身の十二支像(十二神将の可能性のある)は根拠が不明瞭なまま十二神将と結びつけられてきたが、本発表では韓国の国立慶州博物館・東国大学・通度寺所蔵の花崗岩製の神将像6面について、当初は統一新羅の石塔の上層基壇を構成した部材であり、本来薬師信仰に基づく十二神将を表したものである可能性を指摘した。 これまでは本作品は全く研究がなされておらず、三か所に分蔵されるため、一具であることも知られていなかったが、これらが法量・様式から一具であり、薬師信仰に基づく可能性がある人頭人身像であることを指摘したことは意義がある。 また、国立慶州博物館・国立中央博物館・檀国大に分蔵される蠟石製の獣頭人身の神将像6面については、本来は一具であるとともに、様式から7世紀末の作である可能性を指摘した。韓国における最古の十二支像の作例であるとともに、十二神将との習合像である可能性を指摘した。なお、その発表内容については引き続き公刊論文として発表する準備を進めている。 このほか、日本と韓国の調査及び学会への参加、展覧会などを通して十二神将と十二支、道教や歴史などに関する資料を蓄積したことも重要である。 また、中国・四川調査では、四川博物院で如来坐像の台座に十二神将と思われる十二体の神将像が表されており、これらが南朝に遡る薬師如来と十二神将である可能性について新たな研究課題を発見した。この他、中国における調査は四川地方の千仏崖と皇沢寺の遺跡など七世紀の初唐期の作例を実見し、東アジアにおける古代の神将像の受容をある程度窺えた。こうした調査はこれからの研究のために視野を広げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度に、東方学会で発表し、他の研究者から様々な意見を頂いた。中国の調査においても新たな研究主題を発見したことは大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年の東方学会において発表した内容については引き続き公刊論文として発表する準備を進め、調査で発見した新たな研究主題に取り組む。また、日本の十二神将についても研究を進めるなど、昨年の研究成果を日本・韓国への論文投稿を準備している。
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Research Products
(1 results)