2013 Fiscal Year Annual Research Report
不登校児童生徒への対応にみる公教育の変容に関する実証的研究
Project/Area Number |
13J07105
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本山 敬祐 東北大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 不登校 / 公教育制度 / 教育行政 / 教育支援センター(適応指導教室) / 「フリースクール」 / 協働 |
Research Abstract |
本研究の目的は、不登校児童生徒への対応を契機として日本の公教育制度や教育行政組織の規範および行動にいかなる変化が現れているのかを明らかにするとともに、不登校に関する諸問題を日本の義務教育制度の歴史的分析を通して解釈しなおすことである。平成25年度の主な研究実績は以下の2点である。 1. 先進的な不登校対策を実施している自治体に関する事例調査 今年度は、(1)教育委員会が「フリースクール」等のNPOとの協働による不登校対策を実施している神奈川県、(2)構造改革特別区域制度を活用し不登校経験者のみが入学可能な京都市立洛風中学校と東京シューレ葛飾中学校、(3)高等学校における不登校生徒を支援する大阪府高等学校適応指導教室について、それぞれ資料収集および聞き取り調査を行った。 上記のうち、「神奈川県学校・フリースクール等連携協議会」の設立過程を査読付き論文として発表した。従来、学校および教育行政と「フリースクール」は、義務教育制度に対する認識や不登校児童生徒への支援をめぐって反目しあう関係にあった。その両者が協働するに至った主な要因として、非教員経験者である教育委員会事務局職員が「フリースクール」と共有できる不登校対策の目標を設定し、「境界接続者」として教育委員会事務局と「フリースクール」の双方に対し非公式かつ継続的なコミュニケーションによる動機づけを行っていたことがあげられる。また、当時の教育委員会事務局内部の人事構成やNPOとの協働を推進する県知事の政策も、間接的に当該職員の行動を促進していたと考えられる。 2. 質問紙調査 教育支援センター(適応指導教室)および「フリースクール」に対する質問紙調査を実施した。当初は各400か所ずつの抽出調査を予定していたが、結果的に約1,800か所に質問票を郵送した。現在は集計中であるが、不登校児童生徒が通う学校外機関に関する初の官民比較調査として、平成26年度中の公表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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