Research Abstract |
本研究の目的はインテリジェント手術支援システムのための状況適合型制御の理論的基盤を確立することである. 本研究によって開発すべき要素として, 1)タスクを自動遂行するための軌道を計画する手法, 2)術者の動きや接触力, 画像などのデータから状況を判断する手法, 3)認識された状況に基づき, 適切な制御を選択する手法, の以上3つが挙げられる. 本年度は, これら3つの要素について, 次年度の研究の基となる手法を開発した, タスクを自動遂行するための軌道を計画する手法として, デモンストレーションの軌道から学習し, 環境の変化に応じてリアルタイムに軌道を計画する手法を開発した. この手法では, 与えられた軌道を統計的にモデル化することで, 任意の新しい状況に対して, 高速に軌道を計画することができる. 次に, 状況を認識する手法の一つとして, 危険な状況を認識し, 危険な状況を認識した際には, システムが術者に危険を知らせる, あるいはシステムが自動的に動作を停止するといったシステムを開発した. この手法は, 腹腔鏡下手術だけでなく, 整形外科領域にも応用しており, 手術の安全性を向上が図られている. また, 状況に応じて適切な制御を選択する手法のひとつとして, 手術器具にかけられている接触力に応じて, 術者の動きを追従する制御(マスタースレーブ制御)と, かけられた力に対して自律的に退避する制御(コンプライアンス制御)を切り換える制御を開発した. 提案した制御では, 扱う臓器などに一定以上の力をかけることがないことが示され, 手術支援システムの安全性が向上することが期待される. 次年度には, 今年度開発された3つの手法を組み合わせることにより, 状況に応じて, 安全を確保しながら術者を支援する手術支援システムを開発することを目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた, 軌道計画を行う手法を初年度に予定通り開発することができ, 加えて, 簡易的に状況を認識し, 制御を常用に応じて切り換えるシステムを開発することができた. 次年度は, 開発された手法を基として, さらに高度な制御手法を開発することができると見込まれ, 交付申請書に記した研究の目的を達成できると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に開発したいくつかの手法を, より高度なものにしながら一つのシステムに統合し, 状況に応じて安全に術者を支援する手術支援システムを開発する. 研究計画の変更としては, 申請書に記載した研究計画ではビジュアルサーボを用いるとしているが, 本年度開発した手法を基に, ビジュアルサーボを用いずに, より高度な制御が可能であると考えられるため, 次年度の研究にもビジュアルサーボの利用は含まれない可能性が高い. これ以外の点においては, 特に変更点はない.
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