2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J07147
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中濱 良祐 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ジョルダン代数 / ジョルダン三重系 / 正則離散系列表現 / 最高ウエイト表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は今年度, 昨年度に引き続き, 複素ジョルダン代数および複素ジョルダン三重系の理論を用いて, 有界対称領域上のベクトル値関数の空間に関する研究を行った. まず, 複素ジョルダン三重系のある部分領域D(有界対称領域)に, その共形変換群のある実形Gが正則に作用している. この作用は自然に, D上のあるベクトル空間Vに値をもつ関数の空間上のGの表現を引き起こす. この作用は1次元のパラメータλによってパラメトライズされており, λが十分大きいときには積分で定義されるある内積を不変にする. したがってこれはユニタリ表現となる. これは正則離散系列表現と呼ばれる. 一方λが小さい場合には, この積分は収束しない. しかし, λが大きいときこの内積はλに解析的に依存するので, 小さいλに対してもこれを解析接続することができる. したがってこの内積が正定値となるようなλに対しては, この表現はユニタリ表現となる. Faraut-Korányi(1990)はスカラー値の場合に, この内積を具体的に計算し, どのλに対して表現がユニタリとなるかを具体的に決定した. 私は昨年度および今年度の研究で, これを一般化した. つまり, 昨年は値の空間Vがある仮定を満たす時に, 内積を具体的に計算し, どのλに対して表現がユニタリとなるかを具体的に決定した. 今年はさらにVに関する仮定を緩め, より多くの例について計算した. この研究はスカラー値の場合も含むので, Faraut-Korányiの結果をより統一的な観点から見たことになる. また, ユニタリ化可能となるλの決定は既にEnright-Howe-Wallach(1983)およびJakobsen(1983)によって, これとは異なる抽象的な手法で一般のVに対して解決されているが, 私の研究で特別なVに対してこれの具体的な別証明を与えたことになる. また, 来年度以降の研究に活かすため, 小林-Pevzner(2013), Möllers-Ørsted(2014), および小林-Speh(2013)などのリー群の分岐則に関する論文を読んで学んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初研究目的として掲げた 1. 非Euclid型Jordan代数に付随する表現の解析 2. 有界対称領域上のベクトル値関数の解析 のうち, 後者については昨年よりも多くの具体例について計算することができたものの, 前者については手付かずな状態のため.
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Strategy for Future Research Activity |
上に書いた2つのうち主に前者についての研究を行う. また後者についても, 値の空間Vに関する仮定を弱められる可能性があるので, 引き続き研究を行う.
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Research Products
(2 results)