2013 Fiscal Year Annual Research Report
大学法人化を契機とした組織変容の動態分析-研究センターの設置と廃止を中心に-
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13J07179
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金子 研太 九州大学, 大学院人間環境学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大学法人化 / 組織変容 / 附置研究所 / 研究センター |
Research Abstract |
本研究は、大学法人化が附置研究所・研究センターに与えた影響を考察することを通して、大学の個性化へ向けた組織変容の動態を解明することを目的としている。本研究は、先行事例の少ない中で取り組まれる組織再編・統合を新たな観点で見直すものであり、附置研究所・センターのデータベースの構築と、特徴的事例の訪問調査、過去のアンケート調査を踏まえたデータ分析を柱とする研究を遂行中である。本年度はすべての研究課題を同時並行で進めており、とりわけデータベースの構築作業と特徴的事例の訪問調査を重点的に行った。 データベースの分析にあたっては、国が整備を進めている「大学ポートレート」の拡大を見据え、外部データとリンクした分析手法の開発を行った。また、訪問調査の調査対象者からは、構想段階の動きなど今後の分析に資する情報を収集している。これらを踏まえて、変遷パターンの解明や新たな分析手法の提示が可能になると考える。 実際に、データベースの構築と分析により得られた研究成果は、人員数・論文数の面から(「附置研究所・研究施設のパフォーマンス臨界点の考察」『飛梅論集』第14号、pp. 53-68)にて公表し、予算・人員数の観点から、高等教育学会採録決定済みの「附置研究所政策の検証―法人化期に焦点をあてて―」(『高等教育研究』第17集、2014年6月刊行予定)にて公表予定である。 また、過去のアンケート調査の分析は、査読付き学術論文「国立大学における研究センターの動向―制度的位置づけと運用に着目して―」(『九州地区国立大学教育系・文系研究論文集』第1巻1号、pp. 1-11)にて公表しており、次年度以降もさらなる分析の精緻化が可能となると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はデータベースの構築が予定通り進んでおり、さらに新たに利用可能になるであろうデータセットを見据えた分析手法のシミュレーションができている。今後の分析に生かすため、関係者への聞き取り調査をさらに進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
関係者への聞き取り調査から、研究対象をめぐる政策の動きや各大学の対応はめまぐるしいものであり、今後ドラスティックな組織改編が相次いで行われることが予想される。2013年度に開発した分析手法をさらに効果的に活かすため、データセットを部分的に更新する必要があると考える。 次年度に予定しているデータベースの本格運用のため、特徴的な事例の訪問調査を行うとともに、公表した分析結果に対するフィードバックをもとに、分析結果の質を高めることとしたい。
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Research Products
(12 results)