2013 Fiscal Year Annual Research Report
創傷被覆型DDSを目指した新規刺激応答性自己組織化ゲルの創製
Project/Area Number |
13J07181
|
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
新田 恭平 甲南大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 両親媒性グラフト共重合体 / ポリトリメチレンカーボネート / ハイドロゲル / マクロモノマー法 / 創傷被覆材 / バイオマテリアル |
Research Abstract |
本研究では、バイオマテリアル分野において創傷被覆型のドラッグテリバリーシステムとして応用可能なハイドロゲルの創製を目的とし研究を推進している。本研究目的において、ハイドロゲルの体積変化や機能性、強度を調べることは重要になってくる。第1年度目はポリトリメチレンカーボネート(PTMC)を有するハイドロゲルの創製とその基本的な物性評価を行った。 第1年度の研究計画では、新規マクロモノマー(2-アクリルアミドグリコール酸(AGA)-PTMC)の創製、物理的特性、および機能性について評価を行うことであった。しかし、重合度の制御および創製の確認が困難であったため、既知の方法によって創製したマクロモノマー(ヒドロキシエチルアクリルアミドーPTMC)を側鎖として用いてAGAとのグラフト共重合体を創製した。そして、この共重合体をハイドロゲルとしての膨潤率などを解析した。具体的には側鎖であるPTMCの鎖長、グラフト率の異なるハイドロゲルの内部形態、膨潤率、モデル薬物の担持性に及ぼす特性について評価、考察した。その結果、内部形態はトリメチレンカーボネートユニット数の増加とともにハイドロゲルのスポンジ構造が緻密になっていることが観察された。また、PTMCの重合度がおよそ10であり、共重合体中のマクロモノマー組成がおよそ5mol%であるG10-5では、PTMC重合度の増大に伴って、膨潤率が低下し、平衡膨潤に達する速度も緩慢になったことからPTMC鎖が水分子の侵入を抑制していることが明らかとなった。また、PTMC鎖による疎水性分子の選択的な担持能をuv-Vis測定により解析し、その機能を確認した。種々のpH環境下においては酸性領域ではハイドロゲルは収縮し、塩基性領域では膨潤するといった結果が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規の高分子を創製し、当初の研究計画に記載した特性解析を行った。しかしながら、膨潤率等の測定結果評価からは目的としている創傷被覆材としては脆いため、力学的に適した材料物性ではないと考えられた。そこで、ハイドロゲルの作製方法の再検討を始めることとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
熱重合によるハイドロゲルの創製過程において、加熱によって高分子ゲルの外観的形状が変形してしまうため、今後は光重合による合成方法に着手したい。また、研究計画に記載した親水性モノマーが入手困難となったため、分子設計の再考も行う。
|
Research Products
(4 results)