2014 Fiscal Year Annual Research Report
創傷被覆型DDSを目指した新規刺激応答性自己組織化ゲルの創製
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13J07181
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
新田 恭平 甲南大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポリトリメチレンカーボネート / ハイドロゲル / マクロモノマー法 / 創傷被覆材 |
Outline of Annual Research Achievements |
創傷被覆材は、交換時に患部から剥がれ易いことが望まれ、創傷面の保護、表皮細胞の移動を促進することも要求されている。そこで、強度の制御を可能にするための架橋密度を変化させることができ、かつ分子内包を兼ね備えた新規ハイドロゲルの分子設計を提案した。 生分解性、非晶性高分子の一つとして、疎水性のポリトリメチレンカーボネート(PTMC) に着目した。本研究ではPTMCを用いた分子設計を行い、オリゴ疎水鎖を導入することで疎水場の極性と架橋密度を制御した両親媒性グラフト高分子ゲルを創製した。親水性主鎖には2-アクリルアミドグリコール酸(AGA)を用いた。この分子設計により、ハイドロゲルにpH応答性と水素結合性を付与した。そしてその疎水性薬物分子の内包を評価した。 マクロモノマー法により、PTMC鎖の鎖長と導入率の異なるグラフト高分子を創製した。ハイドロゲルの内部形態、膨潤挙動、モデル薬物の担持性について検討した。内部形態はTMCユニット数の増加とともにハイドロゲルのスポンジ構造が緻密になっており、これに伴い、ゲル表面のスキン層も厚くなることが明らかとなった。このスキン層の形成が水分子の侵入を抑制しているため膨潤率の低下に繋がった。また極性の異なる分子を用いてPTMC鎖による分子の担持能をUV-Visにより解析し、取り込み挙動を確認した。親水性の赤色色素の溶液にグラフトゲルを浸漬しても、溶液の吸光度は時間が経過しても変化はしなかった。一方、疎水性の青色色素においては時間経過とともに、初期の色素溶液との吸光度の差が増大していることが確認できた。これはゲル内部の溶液が拡散により交換される際にPTMCにより形成された疎水場が疎水性分子のみを疎水性相互作用によって吸着したと考えられる。以上より、PTMC鎖の凝集を駆動力として架橋されたハイドロゲルを創製し、その膨潤、分子内包挙動の制御が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
創製したハイドロゲルの選択的な分子の取り込み機能を明らかにした。しかし、その機構の解明や生体適合性を評価するまでには至らず、研究材料であった親水性モノマーを選定しなければならないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は親水性モノマーを選定し、光重合法によりハイドロゲルを作製する。そして生体適合性、生分解性をin vitroで検討を行う。その後、実際にマウスなどを用いてハイドロゲルの機能性試験を行う。そして、実用化を視野に入れた材料設計を完成させる。
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Research Products
(6 results)