2013 Fiscal Year Annual Research Report
細粒分のダイナミクスに着目した地盤の粒度変化に起因する陥没発生機構とその対策
Project/Area Number |
13J07199
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 明彦 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 内部浸食 / 粒度形状 / 粒子移動特性 / 間隙構造 / ゆるみ領域 |
Research Abstract |
地盤の陥没災害発生箇所では、透水力の作用によって地盤中の細粒分が流出する内部浸食現象が確認されている。本研究はこのミクロスケールにおける粒子の移動・目詰り挙動(細粒分のダイナミクス)が陥没災害といったマクロスケールで観察される現象に至るメカニズム解明を目的としている。 ミクロな目詰り・内部浸食のスケールでは、着色ガラスビーズを用いた供試体に透水力を作用させ、粒子移動量を実験的に初めて観察した。透水力の作用度合、粒度形状による粒子移動特性の不均一性を定量的に示し、局所的な目詰りと粗粒化を示した。この結果は、メゾスケールとしての個別要素法を用いた粒子骨格構造解析結果との比較を行った。内部浸食は、粒度毎の問隙構造(間隙径とその連続性)の傾向と定性的に一致した。また、粒子流出による粒子間接触構造の不安定性については、平均接点数で表される配位数と異方性を示すファブリックテンソルにおいて、配位数と定性的な一致を確認した。以上を総合し、メカニズムを踏まえた内部浸食の安定性をその粒度形状から判定する図を示し、簡便で有効な対策法の提案に結びつけた。 マクロスケールについては、"いつ・どこの・なにを調べれば良いのか"に答えるモニタリング方法として、ジオ・サーチ社と共同で空洞調査の主流である電磁波レーダー法により、空洞自身だけでなく、その前兆としてのゆるみ領域を捉えようと試みた。前兆を捉えることで、これまで対症療法的であった陥没災害にリスクマネジメントの観点を加えられる。ゆるみ領域は粗粒化によって粒度変化と密度低下の発生が考えられることから、小型土槽の所定位置にその境界を設置して検討した。結果として、粒度の境界を地下水の有無に関わらず捉えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
陥没現象のマルチスケールな観点からの解明に向け、ミクロ、メゾ、マクロスケールに分けて検討を行っている。これまでに、ミクロスケールの粒子移動量調査とメゾスケールでの個別要素法による粒子間構造解析の検討を合せて内部浸食に対する安定性判定図の作成を達成した。マクロスケールにおいては、モニタリング方法の提案を目的とした電磁波レーダー法による検討で一定の成果が得られている。以上のことから、各スケールでそれぞれ成果が得られ、研究発表を行っていることから、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
モニタリング方法について、現在は模型土槽を用いて検討を主に行っているが、特に電磁波レーダー法では計測対象の寸法に合わせて周波数を変更する必要がある。そのため、調査可能深度や解像度の観点から最終的に実スケールで確認する必要がある。これに関しては、名古屋市と共同で行う予定のフィールド実験にて検討する予定である。
|