2014 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナにおけるVIP1介在性浸透圧応答経路の全容解明
Project/Area Number |
13J07247
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津釜 大侑 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シロイヌナズナ / 浸透圧ストレス / 転写因子 / 接触刺激応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
VIP1とそれに相同なタンパク質であるbZIP29、bZIP52、PosF21、bZIP69を組換えタンパク質として大腸菌に発現させ、精製し、ゲルシフト解析に供した。この解析により、既知のVIP1結合配列を持つDNAに対して上のタンパク質はいずれも結合しうることが示唆された。酵母ツーハイブリッド法とBimolecular fluorescence complementationにより、それらのタンパク質が物理的に相互作用することも示唆された。 SRDXという転写抑制ドメインとVIP1とのキメラタンパク質を過剰に発現する形質転換シロイヌナズナ(VIP1-SRDXox)を作製して成育試験を行い、VIP1-SRDXoxの根が野性型のものに比べて大きく波打つことを見出した。これは、VIP1-SRDXの過剰発現に伴う根の重力屈性の低下又は接触屈性の増大に起因すると考えられる。VIP1-SRDXoxの根においては接触刺激応答性遺伝子の発現量が増大していた。根の屈曲には植物ホルモン・オーキシンが関与することが知られているが、根におけるオーキシン応答のレポーターであるDR5rev::GFPの発現は野性型とVIP1-SRDXoxとの間で異なっていた。 VIP1は核と細胞質を往復するが、これに対する種々の生理活性物質の効果を検討したところ、1型及び2A型のプロテインホスファターゼの阻害剤(オカダ酸、カンタリジン)がVIP1の核内移行を阻害し、プロテインキナーゼの阻害剤(スタウロスポリン、K252a)がVIP1の核外移行を阻害することが明らかになった。また、二価イオンキレーター(EDTA、EGTA)とカルモジュリン阻害剤(クロルプロマジン、フルフェナジン)はVIP1の核内移行と核外移行の両者を阻害することも明かになった。これらのことから、カルシウム信号伝達とそれに伴うVIP1のリン酸化状態の変化がVIP1の細胞内局在の制御に重要な役割を果たすことが示唆された。 前年度までの成果と以上の結果をもとに、一報の論文を著し、四件の学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的に適う結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている解析を今後も引き続き行う。
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Research Products
(5 results)