2013 Fiscal Year Annual Research Report
時間変化を伴う統計的計算モデルによるソーシャルネットワークの統計的計算理論の構築
Project/Area Number |
13J07259
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片岡 駿 東北大学, 大学院情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 交通データ補完 / 確率的情報処理 / マルコフ確率場 / 平均場近似 / 最尤法 / EMアルゴリズム |
Research Abstract |
本年度は 1. 統計的機械学習理論に基づく道路交通網の統計的計算モデルの開発 2. 1.で定義した統計的計算モデルに基づく交通データの確率的推定法の開発 3. より現実的な問題設定に対しての1.の統計的計算モデルと2.の推定法の改良 の3点について研究を行った. センサーなどから収集される交通データに含まれるノイズやデータ間の確率的な関係性を数理的に扱うためには, データを上手く表現する統計的計算モデルを設計することが必要不可欠である. 1. の研究では最尤法と正則化学習法と呼ばれる統計学および統計的学習理論の手法を利用することで道路の双方向性等を排除した比較的簡単な問題設定に対して良好な計算モデルを設計することに成功した. 2. の研究では, 1. の計算モデルと平均場近似と呼ばれる手法を利用することでセンサーの存在しない道路の交通データを推定する統計的計算アルゴリズムを提案し, 数値実験により提案手法の有効性を確認した. これらの研究は, より高精度の渋滞予測や経路案内などのシステム開発の基礎となる重要なものである. 1. および2. の研究内容は査読付き学術論文として英国物理学会の論文誌に掲載されると同時に, 最近の注目すべき論文の一つとして同論文誌のホームページで紹介された. 3. の研究は道路の双方向性やデータの偏りといったより現実的な問題設定への改良を目指したものである. 1. では全道路の過去のセンサーデータを利用可能として統計的計算モデルを設計していたが, この仮定は限られたセンサーしか存在しない現在においてはやや強引なものである. そこで, 3. ではEMアルゴリズムとよばれる統計的機械学習理論の手法を用いて全道路のセンサーデータを必要としない計算モデルの設計法を提案し, その計算モデルを利用した交通データの統計的計算アルゴリズムを構成した。さらに, 人口データを用いて提案法の有効性の検証を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の交通データには予想以上のデータの偏りがあり, 本年度は時間変化するパラメータを導入した統計的計算モデルの設計までは至らなかった. しかしながら, 交通データの時間帯の特徴を捉えたパラメータを本年度で提案した計算モデルに組み込むことで目的の計算モデルの構成は十分可能であると思われる. また, その一方で実際の仙台市を模したシミュレーションデータを利用して, 来年度計画していた実データを用いた大規模な数値実験を既に行っており, 本研究はおおむね順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず, 本年度で提案した統計的計算モデルを数理的にさらに深めていくとともに, 時間変化するパラメータを取り入れた具体的な統計的計算モデルを確立する. ある決まった時間帯の交通データに対しては本年度の計算モデルで十分なことは既に示されている. そこで, 時間帯のデータの特徴に反応して計算モデルのパラメータを変化させ, その時間帯に対応した計算モデルへと変化するような統計的計算モデルの設計をおこなう. 計算モデルの設計後は当初の予定の通り統計物理学のスピングラス理論と確率過程の経路積分の方法を用いることで統計的計算モデルの数値的・解析的な統計的性能評価を行うことを予定している.
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Research Products
(8 results)