2013 Fiscal Year Annual Research Report
酵母Yarrowia lipolyticaのn-アルカン代謝と制御に関する研究
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13J07284
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩間 亮 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Yarrowia lipolytica / n-アルカン代謝 / シトクロムP450 / アルデヒドデヒドロゲナーゼ |
Research Abstract |
n-アルカン資化性酵母Yarrowia lipolytieaにおけるn-アルカン代謝経路とその制御機構は未解明な部分が多い。本年度は細胞内におけるn-アルカンの水酸化、長鎖アルデヒドの酸化に関与する酵素の解析を行うとともに、疎水性化合物に応答する遺伝子の中からn-アルカン資化で重要な役割を担うALk1様の発現パターンを示す遺伝子を特定した。 1. P450ALKの機能解析 n-アルカンの初発酸化はシトクロムP450の一種であるP450ALKにより行われる。Y. lipolyticaにおいてP450ALKをコードする12種のALK遺伝子を全て破壊した株を背景に、各ALK遺伝子を単独で発現させ、n-アルカン資化能や脂肪酸のω末端水酸化活性を評価した。Alk3pが幅広い長さ、Alk6p、Alk1Opが長鎖、Alk9pが短鎖のn-アルカンに対して活性を持つことを新たに示した。また、Alk4p、Alk6pが脂肪酸のω末端を水酸化すること、植物Nicotiana benthamianaでの異種発現によりラウリン酸のω末端水酸化活性が報告されていたAlk3p、Alk5p、Alk7pがY. lipolytica内でも同様の機能を持つことが示唆された。 2. 長鎖アルデヒドデヒドロゲナーゼの同定 n-アルカン代謝経路中におけるアルデヒドの酸化を担うHFD遺伝子を4種(HFD1-HFD4)同定した。HFD遺伝子4重破壊株は炭素鎖長12から18のn-アルカン資化できないこと、野生型株ではn-アルカンにより誘導される長鎖アルデヒドデヒドロゲナーゼ(FALDH)活性がHFD遺伝子4重破壊株では見られなくなることを示した。また、大腸菌内で異種発現させたHfdlp、Hfd2p、Hfd4pがFALDH活性を有することが明らかにした。これらの結果から、Y. lipolyticaにおいて、Hfdタンパク質群がn-アルカン代謝過程で生じる長鎖アルデヒドを代謝することが示唆された。 3. Y. lipolyticaにおけるRNA-Seqデータの解析 野生型株およびALk1の発現を制御するYAS2、YAS3の各破壊株を用いたRNA-Seqで得られた結果を解析し、ALK1と同様の発現パターンを示す遺伝子を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、(1) P450ALKと相同性を持つ12種のAlkタンパク質のうち、7種の機能を明らかに出来たこと、(2) n-アルカン資化過程で生じる長鎖アルデヒドの酸化に関わる酵素を同定したこと、などでn-アルカン代謝経路における研究は当初の予定より大きく進展したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1. P450ALKの基質認織に関わるアミノ酸残基を特定し、人工的にP450ALKの基質特異性を改変させることを試みる。 2. n-アルカン代謝の制御機構について明らかにするため、ALK1の発現を制御する際の転写抑制因子であるYas3pの局在制御機構について解析する。このYas3pと相互作用し局在を制御するタンパク質を同定することを目指す。 3. n-アルカン資化経路における長鎖アルコールの酸化酵素を同定する。 4. ALK1と同様の発現パターンを示す遺伝子の破壊株の表現型を調べ、n-アルカン資化に関与する遺伝子を同定する。
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Research Products
(5 results)