2015 Fiscal Year Annual Research Report
錯体ワイヤーを鋳型とした水素結合ネットワークの創出と光誘起強誘電相転移の発現
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13J07305
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 幹大 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ドナーアクセプタードナー型分子 / 圧力誘起分子内電荷移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プロトンの授受が可能な金属錯体から成る水素結合型固体を創製し、その物性と水素結合中のプロトンの状態との関連性を解明する事を目的としている。その為には、外部刺激により引き起こされる物性変化と、それに呼応する水素結合中のプロトン移動機構を解明する必要である。これにより、プロトン移動、電子移動が競合するシステムの解明が促進され、そこから生まれる新しい科学に基づいた分子性材料の創出が可能となる。 本年度では、ドナーアクセプタードナー型の電子構造を有すニッケル二核錯体(錯体1H2)からなる水素結合型固体を合成し、その圧力依存電気伝導度測定実験を行った。その結果、常圧で半導体であった錯体1H2の伝導特性が、加圧によりその電気伝導度の大幅な向上、及び活性化エネルギーの減少を示した。錯体1H2の圧力依存結晶構造変化及びラマンスペクトル変化を調査したところ、圧力誘起分子内電子移動に基づく電子状態変化が電気伝導挙動変化と相関することを見出した。この結果は、光電変換材料や発光材料としての有用性が認知されているドナーアクセプタードナー型分固体の、圧力誘起分子内電子移動という新たな可能性を切り開く事となり、学術的かつ工業的に大変興味のもたれる現象である。 圧力下における錯体1H2の結晶構造変化は水素結合状態の変化を誘起し、分子内でドナー部位からアクセプター部位への電荷移動を引き起こしたと考察される。この現象の詳細を解明することにより、本研究課題目的の達成が強く期待される。今後は、錯体1H2の圧力下における赤外分光実験を行い、電荷移動の発現機構の詳細を明らかとする予定である。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)