2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ複合材料の設計を目的としたセルロースナノフィブリル材料の構造と特性解析
Project/Area Number |
13J07327
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
福住 早花 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | セルロース / ナノファイバー / ガスバリア膜 / 陽電子消滅法 / 包装材料 |
Research Abstract |
再生産可能な天然高分子である木材セルロースは、幅3-4nmの伸びきり鎖からなる繊維状の結晶構造を有しているためナノ材料として補強材や包装材料等の様々な応用が期待されている。これまでの研究で、木材セルロースへの表面酸化と軽微な解繊処理により得られる幅3nmのセルロースナノフィブリルから透明で高い酸素バリア性を有する膜の調製に成功した。乾燥下の酸素透過係数は石油由来のガスバリア高分子であるエチレンビニルアルコールの約10分の1である。本研究ではセルロースナノフィブリルの膜内における自己組織化が膜のガスバリア性に与えるメカニズムを明らかにするため、結晶性、配向性、空隙サイズ等の構造と酸素バリア性を評価し、それを再生セルロースや合成高分子の挙動と比較することで結晶性ナノフィブリルから成るセルロース材料の構造と特性を明らかにすることを目的とした。さまざまな長さ、表面組成を有するナノフィブリル膜のナノ空孔を産業技術総合研究所の協力のもと陽電子消滅法により評価したところ、酸素分子の膜内での拡散遅れがガスバリア性の原因であり、その拡散遅れは、ナノフィブリルのサイズに起因するものとナノフィブリル間の空孔の大きさに依存する2種類の遅れがあることが明らかになった。またナノファイバー膜の空孔は再生セルロース膜や合成高分子よりも小さく、結晶性ナノファイバーが層状に積層し、分子運動が抑制された膜の構造が優れたガスバリア性をもたらすことがわかった。本成果によりガスバリア性発現メカニズムにおける石油由来の高分子と天然高分子ナノファイバー膜の違いが明らかとなり、天然高分子の利用拡大を目指した基礎的知見を得ることができた。本成果は国内学会・研究会にて既に発表され、国際的な科学雑誌に投稿する予定であり、高機能バイオマス材料の有効利用が加速されることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(8 results)