2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J07346
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石田 智範 慶應義塾大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日米関係 / 日韓関係 / 日米同盟 / 経済援助 / 日本外交 / 負担分担 |
Research Abstract |
本研究は、日韓国交正常化以後の日本の対韓国外交を対象とし、その政策決定過程を分析することで、日本の対韓国外交の動態を規定した諸要因の構造的な連関を解明することを目的としている。「日米同盟の力学」と「全方位外交志向」という二つの要請の緊張関係が日本の対韓国外交を強く規定した、というのが分析の視角である。 平成25年度においては、主に次の二点に取り組んだ。第一に、1970年代末から80年代初頭にかけて上記の緊張関係が日本の対韓国外交を規定した態様の解明である。具体的には、83年に日本が韓国に約した40億ドルの経済支援に着眼し、77年以来の日米の交渉過程が日本の当該政策決定に与えた影響を分析した。その結果、当該期において「日米同盟の力学」が日本の対韓国経済支援問題を日米の負担分担問題として争点化する作用を持ったのに対し、「全方位外交志向」はその争点化を一定程度抑制する作用を持ったこと、日本政府は最終的に前者の要請を後者に優先させたことが明らかとなった。研究成果は国際安全保障学会での発表を経て論文「日米関係における対韓国支援問題、一九七七―一九八一年」としてまとめ、学会誌『国際政治』に投稿し、掲載決定に至った。 第二に、1960年代末から70年代前半にかけて「全方位外交志向」が日本の対韓国外交を規定した態様の解明である。その準備として、当該期における「全方位外交志向」の内在的な理解を試みた。具体的には、政策形成の一翼を担う自民党内にて「全方位外交志向」を体現していた宇都宮徳馬の言説に着眼し、その対朝鮮半島政策構想が依って立つ論理の構造を分析した。当該期における「全方位外交志向」と「日米同盟の力学」の緊張関係と、それが日本の対韓国外交に与えた影響の解明が今後の課題である。 なお、当初予定していた海外での資料調査は、研究の進捗に鑑みて平成26年度に実施するのが妥当と判断し見合わせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料の収集と分析枠組みの精緻化作業は概ね順調に進捗しており、今後は資料からのデータの抽出、整理作業に集中できると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に特段の変更を加えることなく、研究を推進する。
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Research Products
(2 results)