2015 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの生活習慣病リスクに及ぼす出生時体重と身体活動の影響
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13J07359
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
宮本(青山) 友子 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所基礎栄養研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 出生体重 / 運動発達 / 身体活動量 / 加速度計 |
Outline of Annual Research Achievements |
三軸加速度計(Active style Pro HJA-350IT、オムロンヘルスケア)を児童の腰部に7日間装着して日常生活における身体活動を測定し、座位行動(1.5メッツ以下)、軽強度活動(1.6~3.0メッツ未満)、中高強度活動(3.0メッツ以上)の時間を評価した。1.5kg以上かつ単胎で出生した小学1~6年生379人を出生体重により三分位して身体活動指標を比較したところ、出生体重の軽い児童の集団は重い集団に比べて、加速度計で評価した座位時間が1日約15分長いことが明らかとなった。日本人では児童の座りがちな行動につながる素因が、胎児期の身体発育要因によって形成されている可能性が示唆された。 さらに、同じデータベースを用いて予備的検討を行い、乳児期に「ひとり歩き」をした月齢が早いと、児童期に活動的な時間が長く座位時間が少ないことを確認した。そこで、どのような運動機能の発達時期が児童期の身体活動量との関連が強いかを検討するために、別の児童の集団においてより精確な調査を行った。母子健康手帳の保護者記入欄の記録より「はいはい、つかまり立ち、つたい歩き、ひとり歩き」をするようになった日が明らかとなり、かつ1.5kg以上で出生した小学1年生165人の身体活動量を比較した。身体活動量は、上述の研究と同じ機器を用いて測定・評価した。性別、在胎週数、現在の月齢、加速度計の装着時間で調整しても、「はいはい」をした月齢は歩数、座位行動ならびに軽強度活動および中高強度活動の時間と有意な相関関係が、「つかまり立ち」をした月齢は座位行動および軽強度活動の時間と有意な相関関係が認められた。特に、一般に最も早い段階で発達する「はいはい」をした月齢は、児童期の身体活動量を予測する力が強いく、児童期に活動的か否かを決定づけるような素因が、乳児期のかなり早い段階までに形成されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年前に作成した小学1年生250名のコホートにおいて毎年身体活動量の測定を実施しており、研究仮説を明らかにするために必要なデータの蓄積がすすんでいる。本研究は、発育発達を観察する研究である性質上、当初の計画以上に進展することは難しいが、順調に進展している。また、並行して進めている健康増進施設の新規来訪者のリクルートにより、成人のデータの蓄積も順調にすすんでおり、目標とするサンプルサイズに対して3/4以上がすでに得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き小学生のコホートの追跡を行う。本年度は、約半数の対象者が追跡の最終年度にあたるため、体力・運動能力や身体組成などのアウトカムの評価も行う。健康増進施設の新規来訪者のリクルートも継続的に実施し、今年度前半で目標とするデータ数を達成できる見込みである。データベースの構築もすすんでいることから、すべてのデータが揃い次第解析を行い、共同研究者間でのディスカッションを踏まえた上で成果発表へとつなげる。
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Research Products
(3 results)