2013 Fiscal Year Annual Research Report
PHA重合酵素における重合能活性化の機構解明およびPHA高効率生産への応用
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13J07410
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
牛丸 和乗 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生分解性プラスチック / 微生物合成 / ポリヒドロキシアルカン酸 / PHA重合酵素 / PHA顆粒結合タンパク質 |
Research Abstract |
ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は糖や植物油、脂肪酸といったバイオマス資源をある種の微生物に与えることで細胞内に合成される物質であり、プラスチック材料として用いることができる。また、使用後は環境中の微生物によって水と二酸化炭素まで分解されるため、「微生物生産可能な環境調和型プラスチック」としての利用を目指して研究が行われている。このPHAを高効率で生産するために、これまでPHA生合成酵素の改変が数多く行われているのに対して、申請者はこれまでと異なるアプローチでのPHA高生産化を目指し研究を行った。自身の先行研究などからPHA顆粒結合タンパク質(PhaP)がある種のPHA重合酵素の重合活性向上に寄与することを見出し、この重合能活性化の詳細およびこの現象がPHA高生産化に寄与しうるかを検証した。生体外(invitro)実験から、PhaPは本研究でターゲットとした重合酵素の重合活性を濃度依存的に向上させることや、PhaPの由来が異なる菌株であっても重合能活性化が確認できることが明らかとなった。また、PhaPによる重合能活性化と共に重合酵素の基質特異性も変化することが見出された。上記invitro実験系に加えて、実用的なPHAの生産で用いられる細胞内(invivo)実験系でもPhaP導入による重合酵素の重合能向上が起こるかを組換え大腸菌を用いて評価した。Invivo実験系としては代表的なPHAであるポリヒドロキシプタン酸(PHB)を合成可能な組換え大腸菌に誘導剤濃度依存的なPhaP発現ベクターを導入し、誘導剤濃度を変化させることで菌体内PhaP濃度がPHB生合成に与える影響を検証した。この組換え大腸菌用いてPHB生産を行ったところ、誘導剤濃度(PhaP濃度)依存的にPHB蓄積の向上が確認され、PhaP未発現時に比べて最大で4.2倍のPHB生産量を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究で確認された4.2倍のPHA生産量という結果はPHA生合成酵素改変によるこれまでのPHA高生産化と比べても高い数値であると共に、これまでに報告されたPHA高生産化とは全く異なるアプローチであるため、既報のPHA高生産化法との組み合わせも可能な有用な手法である。本結果は査読付き国際誌に論文採択が決定していると共に、現在はランダム変異導入ライブラリから得られたPhaP高発現株を用いた新たな解析にも着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の中でランダム変異導入ライブラリからPhaP高発現株を取得することに成功し、現在その高発現化メカニズムの解析を行っている。また、このPhaP高発現株はPHAを高効率で蓄積することがわかっており、既に申請者が明らかとしたPhaPによるPHA高生産化との関連性も非常に高いと思われる。PHA高生産化という面では多くの成果が得られたもしくは得られている最中だが、PhaPがどのようなメカニズムでPHA重合酵素の重合能を向上させているかという点に関してはinvitro実験系を用いたタンパク質-タンパク質間相互作用の評価などの手法により詳細な検討が必要である。
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Research Products
(5 results)