2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J07415
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋本 善光 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 全合成 / 芳香族ポリケチド / ベンザイン / アライン / 1,3-双極子付加環化 / ニトリルオキシド / ナフタレン / キノン |
Research Abstract |
本研究は、テトラセノマイシンCの全合成研究である。本標的化合物は、骨格の一部が酸化的に脱芳香化された直線型四環性骨格、核間cis-ジオール構造といった興味深い構造を有し、ヒト白血病細胞に対し増殖阻害活性を示す。本標的化合物の合成を通じ、骨格の一部が脱芳香化された芳香族ポリケチドの汎用的合成法の確立を目指した。 平成25年度には、ナフトニトリルオキシドの合成を行い、これを合成素子として、テトラセノマイシンCの全合成を達成した。また、その合成過程で、新規反応の開発にも成功した。 ナフトニトリルオキシドの合成には、当研究室で開発された1,4-ベンズジイン等価体の連続付加環化反応を活用した。すなわち、1,4-ベンズジイン等価体から順次発生させたベンザインと、フランおよびケテンシリルアセタールとの連続付加環化反応と、続く還元的芳香化によって4員環が縮環したナフタレン骨格を構築した。続いて、ナフトシクロブテノンオキシムへと変換した後、新たに開発した酸化的開環反応によって、ニトリルオキシドを形成することに成功した。本反応は、シクロブテノンオキシムに対し酸化剤を作用させることによって、4員環のひずみ解消を駆動力とした環開裂を起こさせニトリルオキシドを発生させた後、同時に生じたカチオンを求核剤によって補足するものである。 さらに、合成した中間体を用い天然物の全合成を行った。すなわち、ナフトニトリルオキシドとオルトキノンモノアセタールとの1,3-双極子付加環化反応とベンゾイン環化反応とを活用し、直線型四環性骨格を構築した。続いて、当研究室で開発されたイソオキサゾール環の酸化反応によって、核間cis-ジオール構造を構築した後、数工程の変換を経て、テトラセノマイシンCの全合成を達成した。本合成手法は、類似した骨格を有する芳香族ポリケチドの合成への応用も可能であり、天然物合成、ひいては、医薬品開発にも有用なものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|
Research Products
(1 results)