2015 Fiscal Year Annual Research Report
熱的ヒステリシスを示すキラル合成二重ラセン分子の開発と熱応答物質機能の構築
Project/Area Number |
13J07424
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
串田 陽 東北大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 熱的ヒステリシス / ヘリセン / 二重ラセン / オリゴマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スルホンアミド基およびアミノメチレン基を有するヘリセンオリゴマーを各種合成し、ランダムコイルとラセン二量体間の分子構造変化に基づく熱的ヒステリシス現象を制御する。これをミリあるいはセンチメートルレベルの物質変化に応用することを目的とする。本年度では、アミノメチレンヘリセンオリゴマーが対称性の破れ現象および冷却履歴による会合形成の加速現象を示すことを見出した。 アミノメチレンヘリセンオリゴマーのラセミ体溶液を加熱して円偏光二色性スペクトルを測定すると、CD不活性であった。しかし、この溶液を冷却するとコットン効果が現れた。すなわち、キラル対称性の破れを示した。各種測定により、キラル対称性の破れはヘテロ二重ラセンおよび繊維状自己集合体形成より起きていることがわかった。また、会合・解離において熱的ヒステリシスを示した。本結果は、ラセミ化しない条件において、ヘテロ会合形成によりキラル対称性の破れが発現した初めての例である。したがって、混合比や溶媒、温度などのパラメータを変えることによりキラリティー発現の制御が可能である。それにより様々な熱的ヒステリシスのパターンを実現できると期待できる。 また、アミノメチレンヘリセンオリゴマーの擬鏡像異性体混合物のヘテロ二重ラセン形成が、過去の冷却履歴により加速されることを見出した。擬鏡像異性体混合物のランダムコイル溶液を70度から25度に冷却し放置する実験を行った。70度から-35度に冷却後のランダムコイル溶液を25度で放置したところ、ヘテロ二重ラセン形成反応の速度は低温冷却を行わなかったときに比べて15倍向上した。 これらの新しい現象は熱的ヒステリシスおよび自己触媒反応を用いたものであり、本研究ならではのものである。これらは、新しい熱応答物質システムとしての応用が期待できる。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)