2013 Fiscal Year Annual Research Report
大衆娯楽におけるヴァラエティの伝統-メディア交流と日米比較の観点から-
Project/Area Number |
13J07449
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
仁井田 千絵 明治学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | レヴュー / 宝塚歌劇 / 東京 / 1930年代 / 映像文化 / 都市文化 / 大衆文化 / モダニズム |
Research Abstract |
大衆娯楽におけるヴァラエティの伝統を、媒体(メディア)と地域(リージョン)から考察する本研究において、本年度は日本におけるレヴューに焦点をあて、1930年代の宝塚歌劇の東京進出と映像文化との関係について調査を行った。 宝塚歌劇は、日本の劇団の中でも欧米のレヴューやポピュラー・ソングを積極的に取り入れた劇団である。関西を拠点にしていた宝塚歌劇は、1934年の東京宝塚劇場の開場を機に東京進出を果たすが、この東京宝塚劇場で撮影された舞台上演の映像を分析する共同研究 : 文部科学省「特色ある共同研究拠点の整備の推進事業」(演劇映像学連携研究拠点)平成25年度共同研究「映像からみる戦前戦後の宝塚歌劇―日比谷宝塚劇場映像(1935)とGHQ撮影映像(1946)を巡る考察―」に分担者として参加し、主にレヴュー上演『ラ・ローマンス』の映像の分析を担当した。『ラ・ローマンス』の脚本と照らした場面構成の分析、当時の日本の演劇界におけるレヴューの流行、映画界におけるトーキー映画の進出といった文化的背景の調査から、以下の点が明らかになった。一つは、欧米の場合と比較して、日本においては宝塚、松竹といった関西に拠点を置く少女歌劇が、レヴューの主流として重要な位置を占めており、その東京進出が日本の演劇界において大きな意味を持ったこと、もう一つは、日本におけるレヴューの流行が、欧米から輸入されるトーキー映画の公開時期と重なっており、宝塚歌劇の上演内容も、欧米のレヴューだけでなく、レヴュー映画からの影響も色濃く受けていたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レヴューのメディア交流と日米比較の研究のうち、日本の宝塚歌劇のレヴューとその映像に関する調査を集中的に行った。共同研究の研究集会を通して、日本演劇、舞踊学、音楽学の研究者と意見交換を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本の宝塚歌劇以外のレヴューと、レヴューが映画館におけるトーキー映画の興行に与えた影響について調査を進める予定である。後者に関しては、映画館プログラムを参照に、映画館で行われたレヴューの種類、通常のレヴュー公演との違い、海外レヴュー団による来日公演の意義について考察する予定である。
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Research Products
(1 results)